業務改善

RPAによる自動化のポイント

IT分野で今注目の技術といえばAI(Artificial Inteligence:人工知能)でしょう。最近のトレンドは「無人店舗」です。最初に取り組んだのは大手通信販売事業者のAmazon.comです。本社内でレジ係がいない無人コンビニを設置し、米国ワシントン州シアトルに無人コンビニ「Amazon GO第1号店」を開店しました。

国内では2018年3月に工具通信販売事業者のモノタロウが佐賀大学本庄キャンパス内にて、切削工具や研磨材などをはじめとする工具2,000品目を販売する無人店舗をオープンしました。

世界中で何かと話題を作っているAI技術ですが、それと同じように注目を浴びている技術が他にもあります。それがRPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)です。

最近ではニュースでも頻繁に取り上げられているので見聞きしたことがある、という方が多いでしょう。

RPAとはいわば「自動化ロボット」です。製造工場内で稼働するロボットのように繰り返し作業を行うのですが、違いは実態を持たないことです。RPAはロボットですがソフトウェアでもあるためパソコンやサーバーの中に存在し、パソコン上で遂行される作業を自動化するためにあります。

某メガバンクではRPAを活用して年間8,000時間の労働時間を削減し、現在では月間5万9,0
00時間の労働時間短縮を目指しているとのこと。RPAが如何に生産性向上に効力を発揮するかが読み取れるでしょう。

今回はAI並みに話題を集めるRPAの自動化ポイントについてご紹介します。

RPAは何を自動化する?

RPAとAIの違いは決められたプログラムに従って処理を実行するか、あるいは自律的に物事を判断してデータを処理するかにあります。RPAは前者にあたり、AIのように自律的に物事を判断する力はありません。しかしそれでも絶大な生産性向上効果をもたらしているのは、パソコン上の作業をほぼすべて自動化できるという特徴を持つためでしょう。

皆さんが日々遂行している、繰り返し作業を一つ思い浮かべてみてください。経理の型なら利用明細の仕訳、購買の方なら発注書作成といった作業が思い浮かぶでしょう。今皆さんが思い浮かべた業務のほとんどはRPAで自動化できます。自動化までのステップも難しくありません。実際の作業を行ってRPAに記憶させ、自動化ロボットを開発するのみです。

ただし条件があります。それは「構造化され作業手順が決められている作業である」という条件です。前述のようにRPAはAIと違って自律的な行動はできないので、決められたプログラムに従って動きます。なのでイレギュラーな対応が発生するような作業に関しては、自動化が難しいことがあります。

それでは不可能ではないのがRPAです。複雑な条件分岐などもロボットを作り込めば対応でき、状況に応じた作業が可能になります。あくまで条件分岐を設定することで複雑な作業を可能にするので、AIとはまた違った技術です。

RPAで自動化できる作業の例を挙げてみましょう

  • Excelから抽出したデータを業務システムに転記する
  • クラウドストレージにアクセスしてファイルを指定のファイルをダウンロードする
  • 通販サイトにて発注書通りのものを注文する
  • 従業員の勤怠時間を管理して長時間労働に警告をする
  • ライバル会社のWebサイトを巡回した価格調査などを行う

RPAの自動化を上手く行かせるポイント

どんなツールでも導入して上手く行く企業とそうでない企業が分かれます。これは運で決まることではなく、導入までの準備と運用を如何に進めるかで成否がハッキリ分かれます。ここでは上手く行かせるためのポイントをご紹介します。

ポイント① RPAはロボットを簡単に開発できるものを選ぶ

RPAが自動化するのは日常の定型作業です。IT部門よりも経理や総務といった一般部門での自動化が中心になるため、ユーザー部門で運用可能なRPAを導入することが最初の成功ポイントになります。その点を考慮するとロボット開発にプログラミングを必要とするRPAは適さないでしょう。開発容易性に優れたものを選ぶことが大切です。

ポイント② 最初は小さく始める

RPAをいきなり会社全体に適用しようとすると100%失敗します。定型作業を自動化することは少なからずこれまでの業務内容が変わるため、いきなり全社適用してしまうと多大な混乱を招き、その結果RPA本来の効果を失ってしまいます。ですのでRPA導入初期段階では「小さく始める」こと、いわゆるスモールスタートが肝要です。まずはごく一部でRPAを運用してみて、少しずつノウハウを積み上げつつ適用範囲を拡大していきます。

ポイント③簡単、でも高い効果が見込める「ちょうど良い作業」を探す

一番最初にどこでRPAを運用するかという選択は非常に大切です。適切な運用場所を選べるかどうかによって、RPA拡大スピードが決まります。理想は簡単にロボットを開発できて、かつ高い効果が見込めるちょうど良い作業です。たとえばとある企業では「ファイルダウンロード」という自動化が簡単な作業にRPAを適用しています。そんな特定の作業では高い効果は出ないでしょうと思われるかもしれませんが、結果としては月間100時間の作業時間がたったの1時間に短縮しました。年間で見れば1188時間の短縮です。簡単、でも効果が高い、そんなちょうど良い作業でRPAを運用すれば、ノウハウを多く積み上げ一気にRPA適用範囲を拡大していけます。

ポイント④エンジニアの協力は必要

開発用容易性が高いRPAを選ぶことは大切ですが、かといってエンジニアの力が不要というわけではありません。まずガバナンスやセキュリティの維持という観点からエンジニアによる監視は必要です。RPA運用をユーザー部門だけに任せていると、次第に複雑なロボットネットワークが形成されます。そうしたカオスな状況を生み出さないためにエンジニアによる統制が重要です。もう一つの理由は複雑な条件分岐や大規模な自動化にはプログラミングが欠かせないことです。作業の記録で開発できるロボットには限界があるので、より複雑なロボットを開発する際はエンジニアの協力が欠かせません。

以上のポイントを押さえることでRPA導入の成功率はグッと向上します。こうした事前準備や運用を面倒だと思ってしまうと、十中八九RPA活用は失敗します。

もしも本稿によって少しでもRPAに興味を持っていただけたのなら、是非お問い合わせください。

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