業務改善

RPAで営業活動は効率化できるのか?SFAとの連携強化のポイント

世界的に注目を浴びているRPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)。主に経理や人事、総務といったいわゆるバックオフィス業務にて導入されるソフトウェア製品という認識が強いのではないでしょうか?

「RPA=ホワイトカラー効率化」と考えている方が多い中で営業などフロント系の業務で導入されているイメージは持たれていないかもしれません。実は、RPAは営業などフロント系業務との相性も良く、営業活動を自動化できる余地はたくさん残されています。

本稿では、RFPで営業活動がどう効率化されるのか?SFAとの連携強化ポイントも含めてご紹介します。

RPAで営業活動は効率化できるのか?SFAとの連携強化のポイント

RPAとは何か?

RPAは、予めプログラムされた手順に従ってパソコン上の操作を自動化するソフトウェア製品です。忙しいビジネスパーソンの代わりに、定型的なパソコン作業を代わりに実行してくれるロボット、と考えてみてください。プログラムといっても難しいものではなく、多くのRPAは実際の操作画面を読み取り、作業手順を記録することで自動的にプログラムを作り出します。後は、任意のタイミングで実行するだけです。

AI(Artificial Intelligence:人工知能)と混同されがちですが、RPAはAIのように自律的な判断は行いません。あくまでプログラムされた通りにパソコン操作を実行するため、定型業務の多いホワイトカラーを中心に活躍しているのです。

「AIのように情報を自律的に処理できない」という考えが、営業などフロント系業務での活用が進まない大きな原因だと言えます。確かに営業は見込み客を追ったり、既存顧客とコミュニケーションを取ったりすることで売上を立てる非常にクリエイティブな仕事です。人間的判断を必要とするケースが多いことから、一見RPAの土俵ではないと考えてしまいます。

営業にも最適なRPAの実態

営業にとって最も大切な仕事とは何でしょうか?それがクライアントにアポを取り、訪問してコミュニケーションを取ることです。その際は商談を進めるのではなく、クライアントとの信頼関係を築いていきます。営業にとって最も強力な武器は、口八丁で自社商品を売るようなテクニックではなく、クラインとからの“信用”です。信用があれば商品は自然と売れますし、売上を拡大していくことも容易ではありません。

しかし、現実はそうした理想から大きく離れていきます。多くの営業マンが社内での事務作業に追われるようになり、クライアントとの時間が疎かになってしまい、信頼関係が徐々に薄れていきます。確かに売上を立てるために事務作業は欠かせませんが、クライアントとの時間まで大幅に削ってしまっては本末転倒です。

本来ならばクライアントへのアポと訪問を最優先し、合間の時間で事務作業を進めていくといのが理想ですが、目の前で山積みになっている事務作業の量を考慮すると、そうも言っていられないという営業マンが多いでしょう。

ところで、営業の事務作業と言えば何でしょうか?見積書作成や請求書作成、提案書作成やレポート作成、カタログや書類の送付、在庫問い合わせなど多岐に渡ります。その中で、RPAで自動化できそうな仕事について考えてみてください。意外と多いとは思いませんか?

たとえば、クライアントから預かった受注伝票を自動的にデータベースに取り込んだり、カタログや書類を送付する際の宛名書きやラベル発行を自動的に行ったり、場合によってはメールでのアポ取りをRPAで代替するという活用方法も期待できます。

フロント系業務かつクリエイティブ性の高い仕事だからRPA活用は不可能と考えられてきたRPAも、実は営業にとって欠かせないソフトウェア製品なのです。事務作業にかかる手間を大幅に削減できれば、クライアントに割く時間がより多くなり、相対的に売上を向上させることができます。

SFAとの強化連携ポイント

SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)といえば、営業活動の支援するためのソフトウェア製品であり、顧客情報を一元的に管理するためのものでもあります。営業にとって欠かせないSFAと、RPAが連携することで何が起こるのでしょうか?

まず、SFAの特徴は営業部全体が管理している顧客情報を一元化できることです。従来、営業担当ごとに顧客情報が管理されていた環境では、属人化が発生しやすく、顧客情報を組織的に活用できないという問題がありました。これに対しSFAを導入した企業の多くが課題を解決し、部全体で顧客情報を管理することで組織的な営業活動に取り組んでいます。

このSFAの特徴を利用すると、SFAの顧客データベースから必要な情報を自動的に抽出し、CSVファイルとしてダウンロードしてExcelデータに変換し、同時にグラフを作成するという活用方法が期待できます。これにより、確度の高い見込み客を自働で抽出し、必要に応じてランク付けを実施することで今戦力を集中すべき場所が見えてきます。

さらに、作成した見積書や提案書などの承認フローを、RPAを使って自動化することも可能です。Excelに必要事項を入力して特定のメールアドレスに送信するだけで、RPAが自動的に処理しSFAの日報機能に反映させ、日報業務を効率化することもできます。これなら外部から社内システムへのアクセスを禁止している企業でも、営業マンが外出先から日報を作成できます。

今回はその可能性の一部をご紹介しましたが、RPAとSFAの連携強化ポイントはたくさんあり、アイディア次第で実に様々な活用方法が期待できます。

RPAとSFA連携の注意点

RPAとSFAを連携することで、営業活動において実施できる業務自動化は無数に存在します。まずは、フロント系業務だからと決めつけずに、自社の営業活動においてRPAを以下に活用できるか?を検討することが大切です。

ただし注意点もあります。まず、RPAとSFA連携のためのノウハウを持つRPAベンダー及びSFAベンダーが少ないことです。企業独自の連携は難しいことから、ベンダーの支援を得たいところですが、2つのソフトウェア製品を扱えるベンダーは非常に少ないでしょう。1社またはグループ内でRPAとSFAの双方を扱っているようなベンダーでないと連携は難しいかもしれません。

もう1つの注意点は「野良ロボット」の蔓延です。RPAは全社で取り組むことで大きな成果をあげますが、営業担当が独自に自動化ロボットを作成するケースも中には存在します。しかし、組織主体の開発体制を監視する機関がないと、ユーザーが作ったまま放置した野良ロボットが大量発生する可能性があります。

そうなると業務に支障をきたしたり、重大なシステムトラブルが起きたり、クライアントとの思わぬトラブルに発展することもあります。なので、RPAで作成した自動化ロボットが正確に管理される大切が必要です。

いかがでしょうか?一見RPAの導入効果が薄い営業ですが、実際は活用次第で色々な効果を得られます。この機会に、営業活動におけるRPA活用およびSFAとの連携をぜひご検討ください。

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