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広島県様

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広島県からユニコーン級企業を10年で10社創出する

広島県商工労働局のイノベーション環境整備を担当されている川野様に、
広島県におけるイノベーション・エコシステム形成にかかる取り組みなどについて伺いました。

地域創生に対して、広島の現状と課題をお教えください。

川野:広島県の現状として、加速度的に進む人口減少があります。一方で、進展するデジタル技術やグローバル化もあります。また、頻発する大規模災害や新たな感染症の発生など、先行き不透明な時代だと思います。
こうしたことは広島県だけに限ったことではありませんが、社会経済環境の情勢変化の度合いは、より一層激しさを増し、先行きの不確実性や不透明さが高まっています。
とりわけ、加速する東京圏への一極集中は、日本全体の構造的課題となっており、単に人口の問題だけでなく、経済面においても、過度な人材の集中による思考の画一化や単一化が、クリエイティビティを阻害し、イノベーションの源泉である多様性が乏しい状態を招かないかと危惧しています。
スタートアップ企業等のサポートに携わるなかでは、起業前において、ビジネスアイデアや研究シーズを事業化させる経営人材が地方に少ないこと、また、スタートアップ企業等への資金供給が限定的であるといった課題に直面しています。

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広島の取り組みについてお教えください。

川野:2010年に「イノベーション立県」を掲げ、その実現に向けて、「ひろしまサンドボックス」等の取り組みを進めました。これは、何度、失敗してもよいので、繰り返しトライするという意味をサンドボックスに込めたプロジェクトです。県内23市町のうち7割の参画を得て実証フィールドを提供していただきました。
また、多様な人材のネットワークの構築や地域における産学官金連携の推進など、県内産業を下支えする基盤的横断的な施策と、広島県が強みを有する技術や産業に着目した分野別振興施策、例えば、既存のものづくりに、今後の高齢化を捉えての健康ヘルスケア、あるいはSDGsに代表されるような環境、エネルギー等と、デジタル技術の3つを組み合わせ、イノベーションが次々と起こるイノベーション・エコシステムの構築に取り組んできました。
こうした取り組みにより、イノベーションを起こす意欲を持った人材によるつながりの創出や、産学官連携によるものづくり産業のデジタル化といったプロジェクトの創出、大学のシーズ技術を経営人材による事業化など、新たな成長の芽が生まれています。
2020年には、国によって「スタートアップ・エコシステム推進拠点都市」に指定されました。
さらに、2022年3月、社会の加速度的で、かつ急激な変化に対応すべく、「革新的イノベーション」「スタートアップ」「ユニコーン」をキーワードとして、これまでの取り組みをさらに深化させる議論を重ね、「ひろしまユニコーン10」プロジェクトをスタートさせました。ユニコーンといわれる、世界に羽ばたき、大きく成長する企業、例えば、新規性や独自性を備え、世界市場獲得を狙える汎用性のあるビジネスモデルを兼ね備えたスタートアップ企業やベンチャー、カーブアウトなどの挑戦を後押ししたいと考えています。

アクセラレーションプログラムの成果発表会※アクセラレーションプログラムの成果発表会

現在、新しいビジネスで挑戦している企業に対してのスケールアップに向けた各種支援策、例えば、アクセラレーションプログラムの提供や、ベンチャーキャピタルなどの大口資金提供者へつなげるためのネットワーク構築、海外の市場を取り込むための支援策などを行っています。
こうした取り組みに加えて、広島大学、自動車メーカーのマツダをはじめとする企業とも産学官連携を進めています。
その主な取り組みとして、内閣府からの財的支援を受け、「ひろしまものづくりデジタルイノベーション創出プログラム」を展開しています。例えば、自動車のシートやドアは、断熱性や吸音性などさまざまな材料が持つ特性を組み合わせて作っているのですが、そういったものの研究を行っています。また、データ駆動型スマートシステムを作る過程で生まれる技術を他の事業に応用する研究も行っており、延べ51社、805名の共創コンソーシアムを組織し、オープンイノベーションが生まれています。
さらに、広島大学を中心に「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」という、大学研究者と企業をつなぐプラットフォームを展開しているなど、広島県ではさまざまなコミュニティが立ち上がっていて、それらのコミュニティの掛け合わせの中で、多くの企業が参加しています。

取り組みによって、どのようなことが実現できるとお考えでしょうか?

川野:「ひろしまユニコーン10」を通じて目指す10年後のあるべき姿をこう描いています。
ユニコーン級企業を10年で10社創出するという極めて難易度の高い目標設定のもとで、「新しいことに挑戦しやすい環境」「挑戦することが当たり前の土壌・文化」が形成されている状態を目指したいと考えています。
具体的には、ユニコーン級の企業創出に挑戦することについて、挑戦するための必要な支援が整っていること、同じ志を持つ人などと挑戦心が共有できる場があること、そして挑戦が次々と生まれるエコシステムが形成されていることが重要です。すなわち「広島にビジネスに挑戦しやすい環境が整っており、企業の成長フェーズやニーズに合わせた支援」が受けられる状態を目指したいと思っています。
そうしたことにより広島におけるスタートアップやイノベーション推進の取り組みが国内外に広く認知され、人材・企業が集まり、県内企業と交わることでさらなる挑戦の種が生まれるなど、イノベーションが全県的にふつふつと沸き起こっている状態が形成されている、そういう世界を考えています。
最終的には、取り組みを通じて新たな挑戦を生み出す土壌・文化を広島に生み出すことにより、「アニマル・スピリッツ(起業家の野心的な意欲)」の醸成にもつながると考えています。

広島県が目指すイノベーション・エコシステムの概念図※広島県が目指すイノベーション・エコシステムの概念図

デジタルの価値をどうお考えですか?

川野:デジタル技術を活用したDXの潮流は、産業構造や働き方・暮らし方などのあらゆる面で大きな変革をもたらし、社会をより便利で、豊かに変える大きな可能性を秘めています。
デジタル技術とイノベーションの融合の先にあるDXの推進に当たっては、これまでの取り組みを生かしつつ、多様な主体が連携することでオープンイノベーションを起こし優位性を確保する。併せて、急速な技術開発に立ち遅れないアジリティ-、いわゆる俊敏性と、新たな潮流に飛び込むチャレンジの視点も大切にしながら、デジタル技術を活用したより良い社会の実現につなげていくべきと考えています。
行政と地域と産業が三位一体となって推進していく。そのことで皆さんが豊かに学び、働き暮らせるようになると考えています。

これから未来、広島はどのようになっていくのでしょうか?

川野:3密が都市化とともに進み、都市化することが経済成長を進めることだと考えられてきました。それが、新型コロナウイルス感染症を契機に、そこに大きな課題があることが顕在化しました。開放的で快適な環境が、人間らしさや、リスク回避の観点からも重要であるということが見直されて来たと思います。
また、デジタル技術によって空間的な制約が緩和でき、3密を作らなくても生産性を高めることができるのではないか、あるいは、通勤などの移動時間を生産的な時間に組み入れることができるのではないか、ということも認識されました。
過度な集中をやめて、適切な分散と、適切な集中を創造し、これらをうまく組み合わせた「適散・適集社会」が、今後、全国的に、世界的にも求められてくるものと考えています。
また、広島の最近のトピックスとして、G7広島サミットがあります。平和都市として世界に知られる広島は、あらゆる社会的課題の解決を目指し、未来に向けて、世界の人たちに元気・勇気を与えるイノベーションを生み出して行くエコシステムを構築したいと考えています。

HIROSHIMA UNICORN10

本取材記事「広島県からユニコーン級企業を10年で10社創出する」をご一読くださりありがとうございます。
2023年8月22日より開催いたしました、デジタル社会実現ツアー(主催:アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)のオンデマンド配信を現在実施しております。
各地域における地方創生の取り組みをご紹介しておりますので、ご興味ある方はぜひこちらよりご参加ください。

広島県商工労働局 イノベーション環境整備担当部長
川野真澄様

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