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香川県様

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香川県内を一つの生活圏として、官民共創による地域課題解決を通じたまちづくりに取り組み、「デジタル社会・かがわの形成」を目指す

香川県では、かがわデジタル化推進戦略(2021年12月策定)の基本理念として、「安心・便利・豊か 人が主役のデジタル社会・かがわの形成」を掲げており、その実現に向けて、デジタルによる地域課題解決を通じたまちづくりに取り組む官民共創のコミュニティ「かがわDXLab」を2022年4月に立ち上げ、県、県内全市町、民間事業者とともに、「DXによるまちづくり」に取り組んでいます。
そこで、デジタル戦略総室に香川県の現状の課題や地域創生に向けた取組みなどを伺いました。

地域創生に対して、香川県の現状と課題をお教えください。

近藤:香川県は全国で最も面積が小さな県です。平地と山地が相半ばしており、可住地面積比率が高く、人口密度は中国・四国地方で最も高い地域になっています。暮らしやすい県だと思っていますが、大きな課題は、人口減少が続いていることです。1999年の約103万人をピークとして24年連続で減少しています。2023年は約92万7000人。減少幅も拡大傾向にあり、このまま対策を講じなければ2040年には81万人程度まで減少すると推計されています。
経済面では、県内総生産は2020年のデータで約3兆7000億円。コロナ禍の前は約4兆円ありましたが、コロナの影響もあり、今は10年前と同水準となっています。成長できていないという状況になっています。
こうした中、人口減少の中で地域の活力を維持し、かつ向上させることが大きなテーマになっています。持続可能な地域づくりをどうすればできるのかが問われています。
さらに、南海トラフ地震が今後30年の間に70~80%の確率で発生するといわれています。本県でも大きな被害が想定されていますが、県内の被害をなるべく最小限に抑え、他の被災地域に直ぐに支援活動を展開できる基地となることも考えなければなりません。

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「デジタル ✕ 官民共創のコミュニティ」とはどのような地域DXなのでしょうか?

近藤:「デジタル社会・かがわの形成」を実現するには、県や市町といった行政だけで進めることは難しく、民間事業者と連携しながら推進していくことが重要だと考えています。香川県内を一つの生活圏として、住民との対話やフィールドワークなどを通じて真の課題を抽出し、行政の「まちづくりの知見」と民間事業者の「デジタル技術の知見」を掛け合わせることで、地域課題解決につながる革新的なサービスの創出につなげていきたいと考えています。
これらを具現化するためのコミュニティが必要であるとの考えのもと、2022年4月に、デジタルによる地域課題解決を通じたまちづくりに取り組む官民共創のコミュニティとして「かがわDX Lab」を発足させました。また、本年4月には、高松市サンポートにある、高松シンボルタワー3階にイノベーションスペースやサテライトオフィスなども兼ね備えた拠点施設を整備し、本格的な活動を開始しました。
「かがわDX Lab」は、県内全ての17市町が参画すると共に、デジタルに関するさまざまな知見を持っている民間の事業者23社(2023年7月現在)が参加しています。
さまざまな地域課題を取り上げ、それを明確化し、デジタルを使うことでどのように解決策が検討できるか知恵を絞り、クリアできるとなると、実証実験を行い、社会実装につなげるというサイクルの中で、民間事業者と自治体が、共に提供するサービスの質を高め、地域DXを目指していきたいと考えております。また、取組みにあたり、障壁となる規制がある場合であっても、できない理由ではなく、できる方法を模索し、支障となる制度の見直しも提言していきたいと考えています。地域課題解決は行政だけが担うのではなく、こういった取組みを通じて民間事業者が自走していくことで、社会全体に変革が起き、人々の暮らしが豊かになっていくことにつながればと考えております。

かがわDXLab拠点施設※かがわDXLab拠点施設

昨年秋には、デジタル社会の基盤である「マイナンバーカード」を徹底的に利活用するためのアクセラレーションプログラム「マイナちゃんピオンシップかがわ2022」を開催しました。本県は犬の殺処分が多い地域なのですが、スマホとマイナンバーカードを活用し、飼育犬の身分証を登録し、様々なサービスを提供するといったユニークな提案もありました。
今後、重点研究項目のワーキンググループの活動を展開し、デジタルを活用したまちづくりを進めていきたいと考えています。

マイナちゃんピオンシップかがわ2022開催時の様子※マイナちゃんピオンシップかがわ2022開催時の様子

地域DXによって、どのようなことが実現できるとお考えでしょうか?

近藤:例えば、地方では「移動」が問題となっています。このまま公共交通を維持していくことが難しい情勢で、バスやタクシーも運転手の確保が簡単ではなくなっています。公共交通が弱体化している地域の住民が、どう移動手段を確保するのか?こうした課題に対して、例えば、小型モビリティなど、需要に対してサービスを最適化することで解決できるのではないか。また、「医療」や「教育」の分野でも、遠隔医療の拡大や、オンライン授業の活用、個々の児童生徒の学習状況に応じた授業の実施といったことも考えられます。
「地域経済の活性化」では、デジタルを活用したマーケティングやブランディングが期待できます。
また、行政職員のみならず、地元企業の従業員、教員の働き方なども大幅な改善が期待できると思います。今後、労働人口が減少してくると、行政も現在の職員数で行政サービスを提供できる保証は全くないと思っています。そのような事態も想定し、より効率的な行政執行体制を模索して行かなければなりません。採用は確保できない、だけども行政サービスは提供しなければならないというジレンマがさらに大きくなってしまう。
すべてを一気に解決できるものではありませんが、我々は、よりパーソナライズ化された、個別状況に応じたサービスを届けることを追求して行くことを目指しています。

デジタルの価値をどうお考えですか?

近藤:凄まじい勢いでデジタル技術が進展していると感じています。デジタルを活用すれば時間や場所を超えて、さまざまなサービスの提供が可能になります。
デジタルを活用するための、さまざまなデバイスも昔だったら高価だったものが、今では安価で、かつ高性能になっています。
コロナ禍でリモートワークが一挙に広がりました。デジタルを活用したビジネスの創出に我々も取り組んでいますが、東京や大阪などの大都市でなくても、地方でも革新的なビジネス創出ができる状況となっています。また、地域の価値を上げる、地域ブランディングやマーケティングも、デジタルを活用して、多くの資金を投下せずとも工夫次第で実現できるようになっています。
こうした技術を地方行政においてどのように活用できるのか?このことを我々はもっと考えなければならないと思っています。地方は人口減少や高齢化など、多くの課題に直面していますが、デジタル活用により、こうした課題の影響を最小限に抑えることが可能になるのではないか。さらに行政においても、データの充実や整理が進み、データに基づいた政策決定が可能になると考えています。
一方、デジタルに取り組めないでいる自治体は人材不足という要素が大きいと思います。
小さな市町だと課長と担当者の2人体制のところもあります。その体制ではおのずと限界があります。「かがわDX Lab」では、横の連携を共有し、一緒になってデジタル推進に取組むことができます。香川県は狭いエリアに17市町があります。県内全域で一つの生活圏となっているので、「かがわDX Lab」の活動を通じて、自治体どうしが補い合いながら活動できます。

これから未来、香川県はどのようになって行くのでしょうか?

近藤:人口減少や少子高齢化であっても、デジタルを活用したさまざまなサービスが立ち上がって、より個人の状況に応じたサービスを利用することができる。行政の生活支援がしっかりと届く。医療介護のサービスも効率化されている。香川発の魅力を発信でき、「香川に行ってみよう」となるようなサービスが提供できる。自治体では、データに基づいた政策決定ができる。そういうことが実現できればと思っています。
県民一人ひとりに即した、よりきめ細やかなサービスの提供を、我々は実現したいと考えています。それは、裏を返すと、県民一人ひとりが自ら主役になり、安心して充実した生活を送ることができることだと思います。そのような香川県になりたいと思います。
香川県といえば、「うどん県」でしたが、池田豊人香川県知事は、「人生100年時代のフロンティア県」を目指すと掲げています。さまざまな課題はありますが、フロンティア県を目指して活動していきたいと考えています。

本取材記事「香川県内を一つの生活圏として、官民共創による地域課題解決を通じたまちづくりに取り組み、「デジタル社会・かがわの形成」を目指す」をご一読くださりありがとうございます。
2023年8月22日より開催いたしました、デジタル社会実現ツアー(主催:アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)のオンデマンド配信を現在実施しております。
各地域における地方創生の取り組みをご紹介しておりますので、ご興味ある方はぜひこちらよりご参加ください。

香川県 政策部デジタル戦略総室 総室長
近藤壽文様

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