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新潟県様

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変革と挑戦、選ばれるために
~新潟県の起業・スタートアップ支援、DX推進の取り組み~

新潟県産業労働部 創業・イノベーション推進課のミッションは、県内企業のDX支援、ものづくり企業への技術振興、再生エネルギーの促進、起業・創業の推進及びスタートアップ振興など、多岐にわたっています。
現状の課題や、起業・スタートアップ支援、DX推進について県の取組を取材しました。

地方創生に対する新潟県の現状と課題を教えてください。

川島:新潟県の最大の課題は人口減少です。新潟は首都圏にアクセスしやすいことがメリットですが、首都圏への流出も多く、社会減が他県と比べて多い現状があります。また、名目県内総生産は約8.9兆円。これは全国17位で、決して高いとはいえません。
県の産業労働行政としては、働く場所、働きがいの確保を進めるほか、挑戦する人や企業を増やし、経済の活性化を支援することがこの大きな課題に対するアプローチだと考えています。

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新潟県のDX推進、創業、スタートアップ支援について教えてください。

川島:県内産業のDX・デジタル化の推進と、起業・スタートアップ支援について2つに分けてご紹介します。
まずは、県内産業のDX・デジタル化の推進についてです。多くの方は、新潟県は農業中心とイメージされていると思いますが、実は県内総生産における農林水産業の割合は1.8%です。他方、製造業が21.9%と高いウエイトを占めており、県経済を製造業が支えていますす。ただ、中小企業が大半で、いわゆる従業員数が小さい会社が多いのが特徴です。そのため、投資余力、経営余力としても、デジタル化、DX化に取り組みにくい環境下にあります。
とはいえ、省力化、生産力の向上など、企業の付加価値向上においてデジタル化は有効な取り組みのひとつです。経営規模が小さいから取り組めないのではなく、課題を解決し、付加価値を向上させるひとつの手段として、できるところからデジタルツールを使っていただきたいと考えています。
次に起業・スタートアップ支援については、新たに起業するいわゆる0→1支援として、高成長が見込まれるビジネスプランを持つ人や、地域課題の解決に対し新しい知見やツール、ソリューションを持っている方が起業しやすくするための支援を集中的に行っています。
新潟県の開業率は全国と比較して低位であり、起業しやすい環境を作ることも取り組みのひとつです。各種補助金や、県内8カ所9拠点に整備された民間スタートアップ拠点など、起業に向けた環境の整備を関係機関と連携しながら進めています。起業のすそ野拡大に向けて、大学と連携した起業家育成事業や民間スタートアップ拠点の整備、スタートアップの成長を促すため、首都圏の産業施設やAWSジャパン合同会社をはじめとする大手企業との連携、先輩起業家とのネットワークの構築を進めています。

変革と挑戦、選ばれるために~新潟県の起業・スタートアップ支援、DX推進の取り組み~ 01※県内8地域の民間スタートアップ拠点を中心に、官民連携の支援体制を構築

さらに、前述の民間スタートアップ拠点の一つであるSN@Pにおいて、起業家と起業家予備軍、支援者が繋がるオンラインコミュニティ「SN@Pサロン」を設けています。学生の起業家・予備軍のほか、支援者にもご参画いただき、起業家と起業家予備軍という、高成長型の起業を目指す方々にメンターが付き、起業・創業のビジネスプランのブラッシュアップを行う体制を整えています。

特徴的なのは、投げ銭システム「SN@Pコインシステム」を取り入れていることです。これは、支援者がメンタリング等を通して活動を評価する起業家予備軍に対して投げ銭ができるようになっており、この投げ銭を起業家予備軍は旅費や弁護士への相談費用などに使うことが可能です。

変革と挑戦、選ばれるために~新潟県の起業・スタートアップ支援、DX推進の取り組み~ 02※SN@Pサロン(オンライン起業コミュニティ)

「SN@Pサロン」の中では、起業家予備軍は支援者に相談するだけでなく、同じフェーズの起業家間での交流や、少し先を行く起業家の先輩にメンタリングを受けるなど、縦・横・斜めの関係を築いています。最近は、起業家予備軍だった方が起業し、新たに起業家予備軍を支援する側に回るといったケースも見られており、エコシステムが構築されつつあります。

変革と挑戦、選ばれるために~新潟県の起業・スタートアップ支援、DX推進の取り組み~ 03※SN@Pサロン(オンライン起業コミュニティ)

今後も、起業家や予備軍が、先輩起業家等のサポートを受けながら切磋琢磨する環境を充実させ、さまざまな課題を解決してくれるスタートアップを数多く創出したいと考えています。

また、企業の社員や既存企業、創業者が新たなビジネスモデルに挑戦する「企業内起業・第二創業」の支援も強化しており、より早く成長軌道に乗って、地域課題の解決や、県内・日本の経済を牽引するような企業になってもらいたいと考えております。
官民連携のイノベーション創出の動きとしては、新潟駅直結のイノベーション拠点「NINNO(ニーノ)」が誕生したことも最近のトピックです。首都圏のIT関連企業や地場企業が入居し、県内外の企業、大学や行政の共創の場にもなっています。
先日のAWSジャパン合同会社との包括連携協定式も、こちらの施設で行いました。

変革と挑戦、選ばれるために~新潟県の起業・スタートアップ支援、DX推進の取り組み~ 04
※包括連携協定締結式(令和5年5月23日)の様子

新潟県の起業・スタートアップ支援によって、どのようなことが実現できるとお考えでしょうか?

川島:スタートアップは斬新かつ、新しいアイディアを持ち、これまでにない視点とアプローチで市場開拓を行い、課題の解決に取り組んでいます。
スタートアップをより多く輩出し、そのなかで成長する企業を少しでも多く増やし、スタートアップと行政、産業機関、金融機関、大学などと連携することで、新潟県の価値向上や社会課題の解決につなげていきたいと考えています。

変革と挑戦、選ばれるために~新潟県の起業・スタートアップ支援、DX推進の取り組み~ 05

2021年に、経済産業省のプログラムであるJ-Startupの地域版として、「J-StartupNIIGATA」が誕生しました。新潟発のイノベーティブなスタートアップを選定し、首都圏を含む民間の「サポーター」との官民連携で集中的な支援を行い、企業の成長の加速化と、新潟版スタートアップエコシステムの強化を目指しています。

デジタルの価値・デジタル化の推進についてどうお考えですか?

川島:デジタル化は、産業の観点から申し上げれば、企業内のコミュニケーションツールや、データの集積や分析、省力化、生産性向上のなど様々な点でとても有効だと考えています。
これまでの経験を踏まえてお話すると、「デジタルの活用を目的としてやってみよう」は失敗します。デジタルツールを導入するための伴走支援をする際、デジタルの議論をする以前の、経営課題はどこにあって、それをどう解決するかに時間の大半が費やされることがあります。
「デジタルを活用すれば物事が解決する」のではなく、どこに経営上の課題があり、それをどうしたいかを明確化し、その解決にデジタルが有効ならばデジタルを活用する。デジタルツールも山のようにあるため、どのツールが効果的かを考えて選ぶ。ここまで考えると「課題を解決するために、デジタルを活用しなければならない」となります。

これから未来、新潟県はどのようになって行くのでしょうか?

川島:スタートアップ振興の観点からいうと、新潟から日本や世界を牽引するようなスタートアップを輩出する。これは最終目標としてぜひとも、取り組んでいきたいと考えています。
また、新潟でビジネスをする意義をいろんな意味で感じてくれて、一緒にやっていただける経営者や企業もたくさんいます。それらの企業は、「新潟でなければ」、もしくは「地方でなければ、そこにいる人でなければ」との地域への意識、地域課題への意識を持ち、「ビジネスで解決したい」という強い志を持っています。我々は、それらの意欲ある企業に対して行政としていかに支援できるか? いかにして一緒になって地域課題、行政課題を解決できるか? また、スタートアップの方々の成長や自己実現をどう果たして行くべきか? その相乗効果、ないしはWin-Winの関係をいかにして構築していくかが大事だと思っています。
その取り組みのなかで、世界に誇れる企業も輩出していきたいですし、地域に根付き地域の課題に向き合って、価値を提供し感謝される企業も支援していきたい。規模の大小を問わず、挑戦する方に光を当てていくことも行政の役割だと考えており、頑張る人達を応援できる行政を目指したいと考えています。

本取材記事「変革と挑戦、選ばれるために~新潟県の起業・スタートアップ支援、DX推進の取り組み~」をご一読くださりありがとうございます。
2023年8月22日より開催いたしました、デジタル社会実現ツアー(主催:アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)のオンデマンド配信を現在実施しております。
各地域における地方創生の取り組みをご紹介しておりますので、ご興味ある方はぜひこちらよりご参加ください。

新潟県産業労働部 創業・イノベーション推進課 課長
川島俊哉様

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