デジタル社会実現ラボはアマゾン ウェブサービス ジャパン合同会社の協賛を受けて、同社の広告として掲載しています。

東北大学様

世界を変革する東北大学発スタートアップを数多く創出するのが使命

東北大学は、平成24年に官民イノベーションプログラムに採択されたことをきっかけとして、東北大学発スタートアップ創出のための支援に本格的に取り組んでいます。東北大学は、ディープテック分野を中⼼とする研究成果を活用して大学発スタートアップを創出しており、近年は在学中の学生起業も増えています。
東北大学発のスタートアップの状況や東北大学の取り組みについて伺いました。

地域創生に対して、東北の現状と課題をお教えください。

石倉:東北では社会や地域課題に挑んでいるスタートアップが近年増えています。
その背景として、東北地方の人口減少率は全国平均を遥かに上回って大きく、また、高齢者の人口割合は全国平均より高くなっており、その傾向はさらに強まる見込みです。東北地方は人口減少や少子高齢化という人口問題にいち早く直面し、その解決に取り組んでいる先進地域であり、この課題に挑んでいるのが東北のスタートアップです。
また、もう一つの背景として、風水害や地震などの災害の頻発と対策が必要になっていることです。特に東日本大震災以降に起業するスタートアップが増えています。地域のために貢献したい、スタートアップで地域の復興や創生をしたいという方々が増えています。
これらの現状と課題に対し、大学や高専などのアカデミアの現場には、社会や地域課題の解決策となり得る最先端の技術シーズや革新的なアイデアがあります。また、起業家人材の輩出もアカデミアの重要な役割です。東北地方には多くの大学や高専などがありますが、その中でも東北大学は学生や研究者向けの起業家育成やスタートアップ創出の支援に力を入れて取り組んでおり、大学発スタートアップを数多く創出しています。
また、東北地方は、産学官金の強固な連携がスタートアップ・エコシステムの基盤となっています。東北大学をはじめ産学官金のつながりが深く、社会や地域課題に一緒に取り組んで解決していこうとしています。東北大学や仙台市などで構成する「東北・仙台スタートアップ・エコシステム推進協議会」や、東北・新潟の大学で構成する「みちのくアカデミア発スタートアップ共創プラットフォーム」を立ち上げ、スタートアップ創出の支援に取り組んでいます。

公共部門向け生成系AIユースケース集
ビジネス立案に役立つ!最新テクノロジー大全

東北大学発スタートアップの状況をお教えください。

石倉:東北大学は、建学以来、研究成果をイノベーションや社会変革に活用することに取り組んできました。
これまでの実績としては、東北大学発ベンチャーは179社、IPOが6社、M&Aが2社、ユニコーンが1社となっています。
東北大学発スタートアップの特徴は、社会改革を先導する研究志向で骨太のスタートアップが多いことです。その背景には、東北大学の強みである、いわゆるディープテック分野の、素材や材料、エレキ、デバイス、機械、加工、情報通信・サービス、医療・バイオなどの分野における研究者が多く、それら研究の社会実装の一手段としてスタートアップが生まれているという事情があります。
東北大学発スタートアップの一例として、㈱RTi-castは、東北大学の災害科学の成果を使い、リアルタイムで津波浸水被害を推定するシステムを開発・運営しています。また、㈱ispaceは、東北大学の宇宙工学の成果を活用し、月面輸送サービスを目指しています。同社は既にIPOを⾏い、2023年4⽉に一回目の月面着陸に挑戦しました。また、ユニコーンである㈱クリーンプラネットは、CO2も核廃棄物も出さない量子水素エネルギー開発に取り組んでいます。
東北大学は、起業家育成とスタートアップ創出を加速化させるために、2020年に「スタートアップ・ユニバーシティ宣言」を発表しました。同時に東北大学独自のベンチャー創出支援パッケージを創設し、その取り組みの一つが東北大学版EIR(Entrepreneur in Residence:住み込み起業家)制度です。現在は渡雄太さんがEIR制度の3人目として活動しています。

渡:私自身、東北大学の出身で、今は東北大学に特任准教授(客員)として関わっています。
大手企業を経ていくつかのベンチャー企業を立ち上げてきました。今は、東北大学のアセットを使って新規事業を立ち上げる、あるいは新しい大学発ベンチャーを創出する立場にいます。
石倉:大学には研究者は多いのですが、スタートアップにとっては経営者が必要不可欠です。また、在学中の学⽣起業が増えていることから、メンタリングが出来る⼈物も必要になっています。そこで渡さんのようなバックグラウンド、スキルを持つ人物が必要と考え、加わってもらっています。
渡:起業家志望の学生たちと壁打ちしています。そこでは大学の講義のように教えるのとは違い、自分自身の実体験を交えてディスカッションしています。学生たちの熱量は高く、若いのでエネルギーもあります。感性が鋭く、行動力もあり、私としても期待しています。

東北大学スタートアップ事業化センター 起業家育成の拠点「青葉山ガレージ」 ※東北大学スタートアップ事業化センター 起業家育成の拠点「青葉山ガレージ」
東北大関連のベンチャー企業は本社登記を行いオフィスとしての利用も可能

東北大学発スタートアップが数多く生まれることで、どのようなことが実現できるとお考えでしょうか?

石倉:地域創生の実現です。スタートアップにより新産業が創出されて、様々な人材が地域に根付いて活動し、地域や社会課題を解決していくことです。それに伴い経済活動が活発化することが地域貢献につながると考えています。
東北地方に限らず、我が国の他地方や世界が人口問題や災害対策などの課題を抱えるようになっています。課題先進地域である東北地方が、全国に先駆けて地域や社会課題を解決し、課題解決先進地域として、そのノウハウやナレッジを全国に広めることで、我が国のためになり、ひいては世界や地球のためになると考えています。

デジタルの価値をどうお考えですか?

渡:東北は東京や大阪、名古屋などに比べると一歩遅れている側面はあると思います。だからこそ、デジタルを活用することでチャンスが生まれる。東北地方は、先進的な都市の取り組みを上手く吸収し、排他的・閉鎖的になりがちな地方の人達の懸け橋になれると考えています。
石倉:渡さんが指摘するように、東北は、東京を見て追いつこうと模倣していたところはあると思います。かつては地⽅で学ぶことやビジネスをすることにデメリットがあった時代もありましたが、今はそのようなことは決してありません。デジタルで情報がすぐに⼿に⼊りますし、⼈や会社同⼠のコミュニケーションも容易になっていますので、東京など大都市と比べて引けを取るということはありません。デジタルによって地方であってもチャンスが拡大しています。デジタルによって、東北から日本を先行したモデル、場合によっては世界に先行したモデルが提示出来ると考えています。

これから未来、東北はどのようになって行くのでしょうか?

石倉: 未来について、特にデジタルとグリーントランスフォーメーションの観点で、東北大学の研究成果や大学発スタートアップは大きく貢献出来ると考えています。
デジタルでは、クラウドやAI、その先の量子コンピューティングの分野の研究と活用が進んでおり、さらにデジタルの価値が高まっています。
そのデジタル社会のインフラを支える東北大学発スタートアップの役割に期待しています。⼀例として、パワースピン㈱が開発している半導体チップは電力消費量を大幅に削減出来ることから、今後、デジタル社会により急増が見込まれる電力需要を賄うことに貢献出来ると考えています。また、ボールウェーブ㈱が開発しているセンサーは小型・高速・高感度で臭いやガスを検知出来ることから、半導体や電池の製造プロセスの革新に役立つことが期待されています。
東北大学の研究成果をグリーン技術として活用し、東北大学発スタートアップにより東北地方でグリーントランスフォーメーションを実現し、我が国や世界のグリーントランスフォーメーションを実現していきたいと考えています。
最後に、東北からもう⼀つ。分野は違いますが、米国大リーグで活躍している大谷翔平選手は岩手県の出身です。大学発スタートアップの分野でも、大谷選手のように研究者と起業の二刀流で活躍し、世界を驚かせるスタートアップが数多く生まれてほしいですし、東北地方からそんなスタートアップが必ず出てくると確信しています。

本取材記事「世界を変革する東北大学発スタートアップを数多く創出するのが使命」をご一読くださりありがとうございます。
2023年8月22日より開催いたしました、デジタル社会実現ツアー(主催:アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)のオンデマンド配信を現在実施しております。
各地域における地方創生の取り組みをご紹介しておりますので、ご興味ある方はぜひこちらよりご参加ください。

渡雄太様
渡雄太様

東北大学 スタートアップ事業化センター 企画推進部長(特任教授) 
石倉慎也様
東北大学 スタートアップ事業化センター EIR(特任准教授・客員)
渡雄太様

TOP