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教育・子育て

教育の課題やその背景とは? 解決に向けたデジタル活用の事例も紹介

国力の維持や向上のためにも教育は必要不可欠です。そのため、国も教育に関する多くの課題の解決を図るべく、さまざまな取り組みに注力しています。そのひとつが、GIGAスクール構想をはじめとした教育へのデジタル活用です。本記事では、教育の課題やその背景、デジタル活用の事例などについて解説します。

教育の課題やその背景とは? 解決に向けたデジタル活用の事例も紹介

文部科学省が挙げる教育の課題と背景

国が発展するには、子どもたちへの教育が不可欠です。ただ、現在では教育に関するさまざまな課題が発生しています。中央教育審議会の答申、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」でも、教育に関する課題が浮き彫りとなりました。

参照元:中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」

子どもたちの多様化

教育に関する課題のひとつが、子どもたちの多様化です。日本のグローバル化がますます進み、国内では大勢の外国人が暮らすようになりました。その結果、日本語の指導が必要な外国人の生徒が増えています。上記資料によれば、約2万人にもおよぶ外国人の子どもが、学校へ通っていない可能性があるとのことです。

貧富の格差が拡大し、貧困状態に陥る子どもたちも増えました。現在では、およそ7人に1人の子どもが相対的貧困状態にあると言われています。住む場所や食事に困るほどではないものの、地域社会からの孤立や教育機会の喪失など、さまざまな不利を被るおそれがあります。

子どものいじめや自殺、児童虐待などが増えているのも大きな問題です。以前より定義がわかりやすくなり、認知件数が増えたことが背景と考えられます。

このように、子どもの多様化が進んでいる時代ゆえに、教育現場では個々を取り巻く環境や状況にあわせたきめ細かい対応が求められます。

教師の長時間勤務

教師の長時間勤務が常態化しているのも大きな課題です。その理由としては、教師のやるべきことが多すぎる点が挙げられます。通常の授業に加え、部活動の顧問やテストの採点、生徒への生活指導など、教師に求められる業務が多いため、自然と長時間労働になってしまいます。

いじめや不登校への体制が整っていないのも、教師が長時間勤務になりやすい理由です。いじめや不登校への対応は学校によって異なり、教師に一任されているケースも珍しくありません。そのため、なかには教師がプライベートな時間を削って対応にあたる、といったケースもあると考えられます。このようなことが頻繁にあれば、教師はゆっくり休む暇がありません。

こうした長時間勤務の常態化を解決しないと、今後教師を目指そうと考える人が出てこなくなるおそれもあります。近年では、教師にかかっている過度な負担に関する実態が、メディアでも取りあげられることが増えました。教職を志望する人が減れば、教育現場はさらに人手不足となり、教師一人ひとりにかかる負担がますます増加します。

時代の変化への対応の遅れ

インターネットやモバイル端末の普及など、時代の移り変わりと共に社会の状況は大きく変化しました。子どもから高齢者まで誰もがスマートフォンを所有し、デジタル技術を目にしない日もありません。目まぐるしく時代は変化しているものの、教育現場では変化への対応が進んでいないという課題が発生しています。

今や、ビジネスの世界では当たり前のようにペーパーレスが進み、テレワークやモバイルワークなど働き方も変化しています。最先端のデジタル技術やITツール、システムを積極的に導入し、より効率的に業務を遂行できるよう、各企業で環境や体制が整えられてきました。

一方、教育現場に目を向けると、従来の教育方法とほとんど変化がありません。PCやタブレット端末を授業に使用するケースは増えたものの、情報やデジタル技術の活用がそこまで進んでいないのが実情です。

今後は、さらなるデジタル技術の発展やAI技術の躍進があると考えられます。特にAI技術の躍進は凄まじく、今後さまざまな仕事がAIに奪われてしまうかもしれません。予測不可能な未来に子どもたちが翻弄されないよう、今から情報機器やデジタル技術についてしっかりと教育を行うのはもちろん、個々のクリエイティブな力や個性を伸ばせるような教育が求められます。
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教育課題の解決につながる「GIGAスクール構想」とは

GIGAスクール構想は、2019年に文部科学省が打ち出した構想です。多様化するすべての子どもたちを取り残すことのないよう、個別に最適化された学びの提供の実現へ向けて掲げられました。

GIGAスクール構想とは?

2019年に文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想は、従来のような画一的な教育ではなく、一人ひとりの生徒にマッチした教育を提供しようとする構想です。GIGAとは"Global and Innovation Gateway for All"の略であり、新時代のスタンダードとなる教育として国も実現を急いでいます。

GIGAスクール構想のベースは、1人につき一台のタブレット端末と高速大容量の通信ネットワークの提供です。教育現場のICT環境を整え、個々の生徒がタブレット端末を活用することで、これまでになかった新たな学び方を実現できます。

GIGAスクール構想の実現は、学校で学ぶ子どもだけでなく教師、教育機関にも多大なメリットを生み出します。生徒はより主体的に学べる環境を手に入れられ、教師の働き方改革につながるのもメリットです。

GIGAスクール構想実現のメリット

児童生徒側のメリット

児童生徒側のメリットとして、ITリテラシーを養える点が挙げられます。GIGAスクール構想下では、生徒がタブレット端末を使用しWebサービスやデータ、システムなども活用しながら学びます。その過程でデジタルデバイスや情報の正しい扱い方を覚えられるため、ITリテラシーの養成に有効です。

ITリテラシーが低いままでは、社会に出てからさまざまな問題を引き起こしかねません。たとえば、会社が保有する重要な情報を外部へ持ちだす、危険なWebサイトへアクセスし業務用の端末をマルウェアに感染させる、などのトラブルを起こすおそれがあります。子どものうちからIT機器やデジタル技術に触れることで、ITリテラシーやモラルを高め、こうしたリスクも回避できます。

加えて、教育を受けやすくなるのもメリットです。デジタルデバイスとネットワークを利用して教育を受けられるため、遠隔地や過疎地で暮らしていても授業へ参加できます。また、遠隔地や過疎地でなくても、さまざまな事情で学校へ通えない生徒もいます。そのような生徒も、オンライン授業であれば自宅から参加できるため、学びの機会を失いません。

学校側のメリット

学校側のメリットとして、教師の働き方改革につながる点が挙げられます。ICTやデジタル技術の活用によって、従来アナログな手法で行ってきた数々の事務作業を効率化できるためです。

教師の仕事は多く、授業以外にもさまざまな事務作業が発生します。たとえば、生徒へ配布するテスト用紙やプリントの印刷です。GIGAスクール構想が実現すれば、個々の生徒へネットワークを介してデータを送ればよいため、このような作業からも解放されます。結果的に教師の負担が減り、長時間勤務の解消にもつながります。

また、個々の生徒にあわせた指導を行えるのもメリットです。生徒の学習データを蓄積し、学習状況の可視化もできるため、一人ひとりの理解度にあわせた適切な指導を行えます。その結果、特定の生徒が授業についていけない、といった状況も回避でき、すべての生徒へ平等な教育を提供できます。

GIGAスクール構想の問題点

GIGAスクール構想は、生徒と学校側の双方にメリットが多いため、国も実現を急ごうとしています。ただ、メリットが多い反面、GIGAスクール構想には問題点があることも覚えておかねばなりません。

問題点のひとつとして挙げられるのが、生徒の集中力低下です。GIGAスクール構想を実現すべく、現在では多くの小中学校がタブレット端末を導入、配布していますが、なかにはデジタルデバイスに気をとられてしまい、授業に集中できなくなる生徒が出てくるケースが見られます。

教師の話を聞かずタブレット端末を操作したり、授業とはまったく関係がないWebサイトへアクセスしたり、といったこともあるかもしれません。このようなことがないよう、教師は生徒の行動に注意を向ける必要があります。

また、GIGAスクール構想下では、教師のITリテラシーも必要です。タブレット端末をはじめとしたICT機器を授業で使用するほか、さまざまなデジタル技術を用いるため、教師も機器の適切な取り扱い方を身につけなくてはなりません。

問題点をクリアするための方法

生徒の集中力低下は、教師が指導力を発揮することで一定程度の対応が可能です。ただ、生徒を指導する教師にもITリテラシーが求められるため、学校は必要に応じてITリテラシー研修や講習、セミナーなどを行いましょう。教育現場は長いあいだITやデジタル技術の活用が進まず、授業はもちろん事務作業などもアナログな手法で行っていました。そのような状況に慣れた教師が、いきなりデジタル技術やICT機器を使いこなすのは困難です。

デジタルデバイスの使い方がわからない教師には、別途講師による指導を行うなど、サポート体制を充実させましょう。ITリテラシーを高めるのに効果が期待できる、外部のサービスを利用するのもひとつの手です。

また、EdTechの導入も検討してみましょう。EdTechとは、IT機器やデジタル技術を教育に活かそうとする試みを指します。たとえば、自動採点システムやオンライン英会話サービス、学習記録アプリなどが挙げられます。EdTechの導入により、スムーズにオンライン授業をスタートでき、個々の生徒にあわせた学習も実現可能です。
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【デジタル化】教育の課題解決に向けた取り組み事例

デジタル技術の活用によって、教育現場の課題解決が可能です。すでに、教育現場では課題解決に向けてデジタル技術を活用しているケースが多々見受けられます。

AIドリル導入による学習支援

GIGAスクール構想の実現に向けて、AIドリルの導入を進める小中学校が増えています。AIドリルとは、AI技術を活用した教材であり、生徒の回答データを分析して理解度を判定し、学習が必要と考えられる出題をする点が特徴です。AIが個々の生徒に必要と考えられる出題をするため、一人ひとりにマッチした学習のサポートが可能です。

AIドリルによる学習支援の有効性は、滋賀県守山市の事例からもよくわかります。同市は、コロナ禍における生徒の学習支援や学習状況把握のため、小中学校へAIドリルを導入しました。その結果、学力テストで出題された連立方程式の単元で、正答率が約22%増加したとのことです。

また、アンケート調査によって、生徒たちの学習に対するモチベーションが大きく変化したこともわかりました。学習が楽しくなったか、自発的に学習できるようになったか、といった問いに対し、6割以上の生徒が前向きな回答をしています。

関連記事:AIによる教育とは? 活用のメリット・デメリットから事例まで解説

STEAMライブラリを活用したオンライン部活動

STEAMライブラリとは、さまざまなテーマの動画や資料を整理したデジタルライブラリです。経済産業省のプロジェクトによって開発されたライブラリで、学校でも活用できるよう制作、公開しています。

近年、STEAMライブラリを活用したオンライン部活動に注目が集まり始めました。背景には、教師の働き方改革推進が挙げられます。教師のボランティア的な働きに依拠するのではない、新たな部活動の在り方を提供する仕組みとして、生徒が主体的に取り組めるSTEAM教育は意義深いものです。

オンライン部活動の事例では、STEAMライブラリを用いて、プレーの原則を学んだり、プレーの分析を行ったりしています。実施によって、共感性や対人関係スキル、問題解決スキルなどが上昇したとのことです。生徒からも、自分のプレーを振り返ることができた、改善点が明確になったといった声が多く聞かれます。

情報モラル教育に使える動画コンテンツ

文部科学省では、児童生徒への情報モラル教育が重要であるとの考えから、教育に使える動画コンテンツを作成、公開しています。文部科学省のYouTubeチャンネルでは、「情報化社会の新たな問題を考えるための教材」と銘打ち、ゲームに夢中になるとどうなるのか、ネット詐欺に巻き込まれないためにはどうすべきかといった動画を配信しています。

また、「情報モラル教育ポータルサイト」というサイトも公開しており、こちらではタブレットやインターネットの使い方、SNSの使い方などについて学ぶことが可能です。授業での実践、活用事例も公開されているため、教育に取り入れやすく、家庭でも見られる点が魅力です。

まとめ

教育に関する課題は多々あるものの、GIGAスクール構想が実現すればこれらの課題解決につながります。すでに、多くの教育現場でデジタル技術の活用が進んでおり、今後この流れはさらに加速化すると考えられます。

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