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災害時のドローン活用方法! メリット・課題・活用事例も解説

ひとたび自然災害が起こると、道路が寸断されるなどの甚大な損害を被り、人命救助も一刻を争う事態となります。近年、そうした災害時に活用が進んでいるのがドローンです。ドローンを使えば、人が入れないような道なき場所の被災状況を確認したり、迅速に救援物資を届けるといったことが可能となります。

この記事では、災害時におけるドローンの活用方法や過去に使われた事例、さらにメリットや課題について紹介します。この機会に、災害時のドローンへの理解を深めてください。

災害時のドローン活用方法! メリット・課題・活用事例も解説

災害時の主なドローン活用方法

デジタル技術や通信技術などが発展するにつれ、ドローンを使う機会も増えて、実際に活躍の場が広がっています。一度は、災害などの非常時にドローンが活躍したニュースを耳にしたことがあるのではないでしょうか。ここでは、災害時において、ドローンがどのように使われているのかを大きく4つ紹介します。

被害状況の確認

大きな災害が起きたとき、多くの場合、どの程度の被害がおよんでいるのかを人の手や目で確認するのは困難です。なぜなら道路が寸断されていたり、火事が起きていたりして、物理的に現場へ赴くことが難しく、運良く行けたとしても、隈なく確認するには相当の時間がかかるためです。

地上を移動するのが難しい場合は、ヘリコプターなど有人航空機を使うこともあります。しかし、それもすぐに飛ばせる状況になければ時間や手間がかかるのは同じです。ここでドローンを活用すれば、これらの課題を解決し、スピーディかつ効率的に被害状況を確認できます。

ドローンはヘリコプターなどに比べてコンパクトなため、狭い場所にも入りやすいのが特徴です。また、ドローンを使って3次元測量を行えば、災害直後に被災地マップが作成できるため、素早く正確に被災状況を確認し、復旧に向けて取り組めます。

逃げ遅れた被災者の発見や救助

ドローンは、被害状況を迅速に確認できるため、救助を待っている被災者の居場所を特定して、より早く救助へ向かうことが可能です。技術面においてはまだ改善の余地はあるものの、光学カメラや暗い場所でも見やすい赤外線カメラを搭載していれば、より被災者を発見しやすくなります。

さらに、通信環境が悪い山地などに小型携帯電話基地局を搭載したドローンを飛ばしたことで、効率よく捜索活動できるようになった例もあります。

ドローンを飛ばすことで被災者の場所が分かった後は、引き続きドローンを使って、次の救助活動へとアクションを起こせます。たとえば火災が起きた場合に水や消化剤をまく、水害が起きて取り残されている要救助者がいれば、浮き輪を運ぶといったことも可能です。二次災害を防ぐといった側面からも、有益な活用方法です。

物資の運搬

災害時には、被災者への生活物資や医療機関への医療物資を届けるのも一苦労です。大雨の後は土砂崩れなども起きやすくなっており、いつ二次災害に巻き込まれるかも分かりません。

その点において、ドローンは物資の運搬時にも活躍します。たとえ道路が寸断されていたとしても、生活物資や医薬品、血液などを運搬し提供できます。加えて、被災地に人が行かなくても対応ができるため、二次災害の防止にも役立ちます。

被災地マップの作成

一般的に、被災状況を把握するために、できるだけ早く「被災地マップ」を作成することが重要となります。ただ、目視で確認した情報をひとつずつ地図上にプロットしていく従来の方法では、時間や手間が非常にかかってしまいます。

ここでもドローンが役立ちます。ドローンを使えば3次元での測量が可能です。そのため災害が起きてから、手間をかけずにスピーディに被災地マップを作成できます。被災地マップを早く作成できれば、復旧に向けた計画も早期に立てやすくなります。

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災害時にドローンを活用するメリット

これまで紹介したように、ドローンは災害時にさまざまな目的で使われます。ここでは、ドローンを使うことで得られる効果について解説します。

防災DXの推進につながる

防災DXとは、災害大国である日本において「防災」のあり方を見直し、DX(デジタルトランスフォーメーション)の考え方を取り入れようとする取り組みのことです。

そもそもDXは、時代に合ったデジタル化によって従来の方法を根底から変革することで、さまざまな効果を上げることを目的としています。あらゆる業界や企業で取り組みが進められており、今や防災の領域にまで広がってきています。

その中でも、手法としてとくに注目されているのが、ドローンの活用です。ドローンを使えば、先に挙げた物資の運搬など、これまで人の手でしかできなかった作業を人に代わって行えます。またドローンによる防災DXの事例を各地域で共有することで、あらゆる地域で防災DXを推進できるようになれば、たとえ発災しても効率よく復旧作業を進められるようになります。

関連記事:防災DXとは? 求められる理由や課題、取り組み事例を紹介

どこからでも迅速に出動できる

ドローンは、人が乗って運転・操作するわけではないため、飛行機やヘリコプターなど航空機と比べてコンパクトです。そのため、離着陸のための広いスペースを準備する必要がありません。有人航空機とは異なり、小回りが利きどこからでもすぐ出動できることが、メリットです。

災害時は一刻を争う状況になるため、どこからでも迅速に出動できるドローンが重宝されています。

二次災害のリスクを減らせる

災害発生時には、二次災害が起こる危険性も高まります。救助や復旧作業に向かう途中で再び災害が起き、巻き込まれてしまったケースは少なくありません。

ドローンの操作は、すべて無線で行います。救助に向かうのが難しいと思われる場所でも、ドローンなら飛行できる可能性があります。これまで危険でありながらも人の手を必要としていた場面でも、二次災害のリスクを最小限に抑えられるのがメリットです。

購入費用・維持費用を抑えられる

飛行機やヘリコプターなど有人航空機は、さまざまなコストが必要となるため、災害用とはいえ気軽に導入・維持することは難しい面があります。一方、災害時に使うドローンは、比較的導入しやすいのが魅力です。ドローン本体は20万円台から購入でき、初期費用もそれほど負担にはなりません。

その理由として挙げられるのが、無人のため整備やメンテナンスの費用が有人航空機と比べて安価であることです。また、有人航空機の場合は操縦に関するスキルを習得するため、操縦者の育成にも多大なコストがかかります。ドローンなら、そうした費用も抑えられます。

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災害時のドローン導入にあたっての課題

ドローンを活用することで、防災DXを推進できたり、コストをあまりかけず、二次災害のリスクを低減させながらどこからでも迅速に出動できたりするようになります。ただ、クリアしなければならない課題があることも事実です。ここでは五つの課題をピックアップします。

天候の影響を受ける

ドローンは空中を飛行するため、大雨や雷がひどいときには、悪天候が落ち着くまで待つ必要があります。また、寒冷地ではバッテリーが冷えて稼働しないといったトラブルが起きることも考えられます。

災害時には、悪天候下や寒冷地といった条件の中でもドローンを使用しなければならないこともあります。そのため、どのような状況下でも安定して稼働させられるようなドローンの開発が求められています。

長時間連続飛行が難しい

ドローンは基本的に小型であるゆえに、搭載するバッテリーが小さく、どうしても長時間連続で飛行するのが苦手な面があります。しかし災害時など一刻を争う事態にもかかわらず、バッテリー不足で飛べないといった事態は避けなければなりません。

国土交通省は、災害現場などでのドローン実装をめざしています。2023年5月時点では、3時間を超える長時間飛行に成功しており、今後より飛行時間が長くなるように開発を進めていくことが期待されています。

参照元:国土交通省初!ドローンの長時間連続飛行に成功!~災害現場や建設現場で効果的なドローンの実装化を目指します~

運べる重量に制限がある

ドローンが小型であることから、有人航空機と比べると一度に運べる重量には制限があります。機体によっては、救援物資など大量のものを運ぶのには不向きで、災害時に使いにくいといったデメリットを抱えているものもあります。

ただ、近年はこうした課題を踏まえて、最大積載量が200kgにもなるドローンも開発されています。今後災害時にこうした重量の課題をクリアしたドローンを自由に使えると、より救援や支援の幅が広がるに違いありません。

通信状況の影響を受ける

現在、ドローンはWi-Fiと同じ周波数帯の2.4GHzを利用することがあります。そのため、電波が多く飛んでいるような市街地などでは、電波が互いに干渉し合い、ドローンの通信状況が悪化する可能性があることが課題です。

また、逆に電波が入りにくい通信環境が悪い山間部でも制御できなくなってしまうおそれがあります。そこで、こうした電波が届きにくい場所でのドローンの活用について、対策が求められています。民間企業の中には、ドローンに小型の中継局を搭載し、周辺の携帯電話基地局電波を捉えて中継することで、臨時の通信エリアを確保しようとする取り組みも行われています。

参照元:総務省「ドローン等に用いられる無線設備について」

参照元:NTTdocomo「ドローン中継局」の運用を全国で開始

人材育成の必要がある

ドローンは誰でも簡単に操縦できるわけではなく、高い操縦技術が求められます。そのため、しっかりとした人材育成は欠かせません。災害時には、通常禁止されている私有地や人口密集地の上空を飛行することも十分考えられます。高い操縦技術は、安全性を確保するといった面においても非常に重要なポイントとなります。

また、ドローンに関する法規制も存在していることから、それらを理解したうえで使用しなければなりません。ただし、災害といった非常事態において状況によっては後述するような特例が適用されることもあります。

ドローンの災害時における特例

ドローンは、どこでも自由に飛ばせるわけではありません。ドローンの飛行ルールとして、空港周辺や人口集中地区、150m以上の上空などでは飛行自体が禁止されています。このような場所で飛行する必要がある場合は、国土交通大臣の許可が必要です。

しかし、大事故や災害時には人命救助が第一になることから、国土交通大臣の許可や承認を得ずともドローンを操縦できることがあります。とはいえ、誰でも許されているわけではなく、都道府県警察、国・地方公共団体の組織、あるいはこれらから依頼を受けた者が操縦する場合に限られているため、注意が必要です。

ただ、災害時などで特例が適用されることになっても、ドローンの飛行には危険がともなうため、安全確保の責務は免れません。

災害時のドローン活用事例

事故や災害時には、ドローンの活用が今後より一層期待されているところです。具体的にどのようにシーンで活用されたのかについて三つの事例を紹介します。

青森で発生した斜面崩落での事例

2022年9月、青森県では斜面崩落が起きたことで通信インフラが遮断される事態が起きました。現場は風が強く、風力発電が多く設置されている地域でした。

土地の高低差によって風が強く吹き上げるような場所であったため、人が復旧させるには危険が伴います。そこで、通線ドローンを派遣し飛行させることで、目視の調査を実施して、二次災害のリスクを減らしながら通信インフラの早期復旧を進めることができました。

参照元:通信インフラの早期復旧にむけた通線ドローン派遣@青森県

熱海で発生した土石流災害での事例

2021年7月3日、静岡県熱海市で土石流災害が発生しました。二次災害が起きることも懸念されていたため、翌日早朝にはドローンを飛行させ、被災現場を撮影しました。そのデータから、被災前後の地図を重ね合わせる共通状況図を作成して、自衛隊や警察をはじめとする関係組織に情報共有を行いました。被災状況の分かる地図を迅速かつ正確に作成できたことで、関係組織が連携し、適切な対応が進められました。

参照元:伊豆山で発生した土石流災害に関する情報|熱海市

九州北部豪雨での事例

2020年7月、九州北部をおそった九州豪雨でもドローンが派遣されました。ドローンや航空写真を活用することで、河川の氾濫状況や市街地での水没状況、鉄道路線の被害状況などを細かく判読できるようになりました。ドローンを使って状況把握を早急におこなえたことで、復旧作業も迅速に進めることができた事例です。

参照元:令和2年7月豪雨への対応|国土交通省

災害時を想定したドローンの実証実験

災害時を想定したドローンの実証実験も行われています。2021年10月、兵庫県猪名川町では「大地震が発生し道路が寸断され、利用できなくなった」という事態を想定した実証実験が実施されました。

往復でそれぞれ、輸血用血液を運搬し、電話回線が不通であることから受傷者の救急搬送依頼と患者情報を配送するといったミッションを行いました。この結果、往復24kmを飛行することに成功しました。このような実証実験から得られるデータは、ドローンの性能をより高いものにする開発に活用されたり、実際にドローンが必要となった際に役立てられたりしています。

参照元:猪名川河川上空での距離 12km のドローン輸送実証実験 - 兵庫県

まとめ

ドローンはさまざまなシーンで活用が進む中、災害時にも活躍するようになりました。これにより、大事故や自然災害時に、人が立ち入れないような場所にも、二次災害のリスクを抑えて被災状況を確認したり救援物資を届けたりと、迅速な人命救助の手助けが可能となっています。

来る災害に備えて、国や地方自治体では実証実験なども積極的に行っており、官民一体となって開発に取り組んでいます。有人航空機よりもコストが抑えられるのも魅力であり、災害大国である日本では今後ますます活用されていくと考えられます。

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