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医療業界の課題を解決できるIoTとは? メリットや活用事例を解説!

少子高齢化が進む日本の医療業界では、さまざまな課題を解決するために大きな変革が求められています。そのうちのひとつが、近年急速に普及しつつある「IoT」です。この記事では医療業界が抱えている課題をあらためて確認したうえで、IoTが医療現場にもたらすメリットやデメリットを解説します。さらに、導入後のイメージがしやすいように活用事例も紹介します。医療現場におけるIoT導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

医療業界の課題を解決できるIoTとは? メリットや活用事例を解説!

IoTとは

近年、デジタル社会化が進むにつれてIoTといったIT用語が注目を集めるようになってきました。IoTは、「Internet of Things」の頭文字をとった略語であり、日本語では「モノのインターネット」と訳されています。

簡単にいえば、これまでインターネットとつながっていなかったものをインターネットにつなげることで、ビジネスを強化したり生活を豊かにしたりしようとする仕組みです。

IoTを実現させるには5Gなどの高速通信技術の活用が欠かせません。通信技術の発達によって5Gサービスが普及したことも、IoTが進んできた要因のひとつと考えられます。とくに医療業界におけるIoTは「IoMT」と呼ばれることもあり、さまざまなシーンでの活用に期待が寄せられています。

関連記事:IoTでできることを身近な例と共に解説! 社会課題の解決事例からAI連携まで

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医療業界の課題

現在、日本の医療業界には解決すべきことが山積しています。ここでは、主に3つのポイントに絞って解説します。これらをクリアしなければ、インフラとして重要な位置付けである医療サービスを継続できないおそれもあり、早急に対策を打たなければなりません。

関連記事:日本の医療における課題とは? 解決に役立つDXと取り組み事例

人材不足

現在、日本ではどの業界、どの企業も必要な人材が枯渇しつつある状況です。内閣府が公表した「令和5年版高齢社会白書」を見てみても、15歳から64歳までのいわゆる生産年齢人口は、1995年をピークとして減少の一途をたどっています。

もちろん医療業界全体も同様に、人材不足が叫ばれています。しかし医療サービスをインフラの一部として考えれば、このまま放置しておくわけにはいきません。限られた人員リソースの活用とともに、医療従事者の負担を減らすための労働環境改善も求められています。

参照元:令和5年版高齢社会白書

医療格差

先に述べたように、医療はインフラであり健全な社会を維持するためになくてはならないものです。しかし、地域ごとの医療格差も、改善しなければならない課題として指摘されています。

そもそも「医療格差」とは何でしょうか。

まず都道府県の人口に対して、登録されている医師数が異なります。またそれに併せて医療費も地域によってばらつきがあるとされています。たとえば厚生労働省の公表資料「令和3年度 医療費(電算処理分)の地域差分析」によれば、1人あたりの医療費実績の全国平均は338,293円です。一方、最も医療費の高い高知県ではその約1.3倍にあたる439,754円もかかっていることがわかります。逆に埼玉県では平均の約0.9倍で299,378円と最も低く、高知県よりも約14万円も安いといった結果が出ています。

こうした医療格差は、その地域に住む住民にとって大問題です。そのため早急にできるだけ地域間の格差を減らしていくための取り組みが求められています。

参照元:厚生労働省保険局 「医療費(電算処理分)の地域差分析」

少子高齢化

日本が直近の課題のひとつが「2025年問題」です。

戦後の第一次ベビーブームに生まれた、いわゆる団塊の世代が65歳以上の後期高齢者になるのがちょうど2025年からであり、さまざまな影響が懸念されています。

とりわけ深刻なのは、さらなる少子高齢化です。労働し納税する現役世代が減少し、逆に介護を必要とする高齢者が増え医療費がますます膨れ上がります。もちろん医療従事者の、1人あたりの業務負担が増えることも簡単に予測できます。長時間労働など労働環境が悪化すれば、なり手がいなくなり医療の基盤を維持できなくなる恐れもあります。

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医療業界でIoTを導入するメリット

医療業界が抱えている課題は、IoTを導入することで解決できるものが多くあります。ここでは、代表的なメリットを3つ解説します。

業務負担の改善ができる

先に述べたように、IoTを導入するとさまざまなものを新たにインターネットへつなげられるようになります。たとえば病室にカメラを設置しておけば、わざわざ病室に行かなくてもリアルタイムに患者の様子を把握できます。夜間はより人員不足になりがちであるため、巡回の手間や負担を減らせるのは大きなメリットです。

さらに、IoTを利用すれば、思わぬヒューマンエラーも減らせるようになります。医療業務はその特性上、プレッシャーやストレスが多くなりがちです。そうした心理的負担も減らせるのは大きなメリットと考えられます。

診察が便利になる

医師の数が少ない地域の場合、診察を受けるためにははるばる遠くの病院にまで足を運ばなければなりません。しかしIoTを活用した医療が普及すれば、オンラインでの診察も受けやすくなります。つまり、患者側にとって受診方法の選択肢が広がるほか、時間や手間の節約につながります。

一方、医療従事者も訪問診療の機会を減らせるのは利点です。わざわざ移動しなくても済むことで診察の効率が上がり、より多くの患者を診察できるようになります。

データを活用できる

IoTを導入すると、これまでアナログで収集してきた患者のデータをデジタル化できます。より多くのデータを収集し、活用することで医療の研究にも役立てられるのはメリットです。デジタルデータは紙ベースに比べて、ほかの関係者との共有がスムーズになることも期待できます。

医療業界でIoTを導入するデメリット

ここまで、医療業界でIoTを導入するメリットについて解説しました。しかし逆に、注意しておくべきデメリットもあります。ここでは3つのポイントを紹介します。

導入コストがかかる

IoTを実現する際、これまで使ってきた機器や環境をそのまま使えるとは限りません。IoTに対応したデジタル機器や安定したインターネット環境を整えなければならず、その導入には一定のコストが必要です。

医療現場でもそうした財源の確保が難しいこともあり、とくに導入コストの問題は重くのしかかってきます。

IoTに対応できる人材を教育する必要がある

IoTを使いこなすためには、インターネットに関する知識が不可欠です。そのため企業は知識とスキルを併せ持った人材を確保しようとします。

ただ、経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査(概要)」によると、2030年には約45万人ものIT人材が不足するといった試算も出ています。IoTを使いこなせるスキル保持を条件として人材が採用できるかどうかは難しい問題です。いずれにしても、採用後には従業員に対し、ITスキルを習得させるため一から教育していく体制づくりが大切です。

参照元:経済産業省「IT人材需給に関する調査」

セキュリティ対策をする必要がある

アナログな機器と比べて、ネットワークにつなげられる機器類は不正アクセスなどの攻撃を受けやすく、ひいては情報漏洩のリスクも高くなりがちです。そのため、IoTを導入する際には入念にセキュリティ対策を施さなければなりません。

医療現場では個人情報を含むあらゆるデータを収集することになるため、セキュリティ対策と併せて、どのようなデータをどう管理するのかといった組織内でのルールづくりや医療従事者への研修実施も必要です。

厚生労働省では「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を制定しています。直近では、2023年4月から全国の保険医療機関や薬局において、オンライン資格確認の導入が原則義務化されたことで見直しが行われ、第6.0版が策定されています。各医療機関で優先的に取り組むセキュリティ事項についてはチェックリストも提供されているため、ぜひ参考にしてみてください。

参照元:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)

医療業界でのIoT活用事例

IoT導入はこれからの医療業界にとって避けては通れません。しかし導入後、どのように活用すればよいのかはなかなかイメージが湧きにくいかも知れません。ここからは医療業界におけるIoTの活用例を3つ紹介します。これから導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

医療センサー

入院中の患者の手首などに付けられるウェアラブルデバイスなど、医療センサーを導入した事例においては、次のようなデータを収集できました。

  • 患者のバイタルや睡眠状況、歩数
  • 医療従事者や患者の位置情報と動線
  • 医療機器の稼働状況
  • 温度や湿度などの室内環境

もし入院中、患者の身に異常事態が起きた場合でもリアルタイムに検知可能なため、すぐに駆け付けられるのがメリットです。IoTを活用し患者のさまざまなデータを収集することで、医療サービス向上や安全確保、医療従事者の業務効率化などをめざせます。

服薬管理システム

服薬は、病気を治すために極めて重要です。しかし自身での服薬管理が難しい患者も少なくありません。入院中であれば、医療従事者が時間を決めて見回り、確認するなど大きな負担になりがちです。

こうした問題を解決すべく、現在、薬包をIoT化する取り組みが注目を集めています。具体的には、Apple製品と連携させることで遠隔地からでも薬箱の状態を確認できるシステムです。IoTを活用した服薬管理システムを導入することにより、飲み忘れたり過剰摂取したりするような事態を予防できます。また、きちんと決められた時間に決められた量を服薬できるようになり、治療効果が高まります。

一方、医療従事者にとってもメリットがあります。まず、患者がきちんと服薬したかどうかいちいち目視で確認せずに済み、効率化を図れます。さらに、確認漏れなどヒューマンエラーも起きにくくなるため、プレッシャーから解放されるのもポイントです。

遠隔診療

医療現場のIoTといえば、遠隔地からのオンライン診療も代表的な例です。これにより、医療過疎といわれるような地域に住んでいる人や、移動するのに何らかの制限を受けるような人でも、気軽に受診できるようになります。受診控えが減れば病気の早期発見にもつながるはずです。

医療従事者も、わざわざ移動する手間や時間を省けます。心身の負担が減るほか、より多くの患者を診察することも可能です。このように遠隔診療は、都市部と地方の医療格差を解消できる手段として大いに期待されています。

医療業界でのIoTの普及状況

先に述べたように、現在、日本では少子高齢化が進んでいる状況であり、今後もこの流れは変わりそうにありません。そこで、とくに医療分野においてICTやIoTの導入を推進するよう、国が積極的に主導しています。

たとえば総務省では、2020年度からAIやIoTによるデータ基盤を開発しているうえ、2022年度からは高度遠隔医療ネットワークの実用化に向け、研究中です。

医療の現場に目を向けてみても、IoTは徐々に普及しつつあります。かつて患者の健康状態や病状を記録するカルテは紙ベースが一般的でした。一方、現在では電子カルテシステムを用いている医療機関が増加しています。

厚生労働省の公表資料「医療分野の情報化の推進について」によると、2020年度では、一般病院の約57.2%が電子カルテを導入しているといった調査結果が出ています。2008年時点ではたった14.2%だったことに鑑みれば相当普及したといっても過言ではありません。ただ、2020年度に一般診療所が電子カルテを導入しているのは、半数を切って49.9%となっています。つまり、病院に比べると規模の小さな診療所では、やや導入が遅れていると考えられます。今後は、医療機関ごとのこうした格差を、どう埋めていくかが課題になるはずです。

参照元:情報通信白書 「第2部 情報通信分野の現状と課題」

参照元:厚生労働省「医療分野の情報化の推進について」

まとめ

デジタルデバイスや5Gなどの高速通信が普及したことで、IoTは医療業界においても注目され、ぞくぞくと導入が進められています。その背景としてあるのは、少子高齢化にともなう人材不足や、地域間の医療格差といった看過できない問題です。

IoT導入にはコストがかかるほか、人材教育やセキュリティ対策が必要になるなどの課題があります。しかしそれらをクリアできれば、デジタル時代に欠かせない多くのメリットを享受できます。医療従事者も患者も双方に負担が減ったり、データを活用したりできるため、医療サービス向上や業務効率化につながるでしょう。

このように、これから医療業界の抱える課題を解決するためには、IoTが不可欠です。この機にぜひ取り組みをご検討ください。

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