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医療・介護

遠隔医療とは? 必要とされる背景やメリット、導入課題について解説

現在多くの医療機関で導入が進められている遠隔医療は、通院が難しい状況に置かれる患者が、自宅にいながら診療を受けられる仕組みです。この記事では、遠隔医療の概要や背景、メリットなどについて、実際に導入を進めている事例を交えて解説します。

遠隔医療とは? 必要とされる背景やメリット、導入課題について解説

遠隔医療とは?

遠隔医療とは、離れた場所からインターネットを利用して実施される医療行為全般のことです。パソコンやスマートフォン、タブレットを使用したビデオ通話などを介して行われる診察や、非対面での医療行為、医師による遠隔地にいる他の専門医への診療に関する相談などが該当します。薬の処方や決済などもインターネット上で行われるため、患者は直接遠隔地の病院まで移動する必要がありません。

遠隔医療と似た言葉に「オンライン診療」があります。これは、患者が遠隔地にいる医師の診察を受けることを意味する言葉です。あくまで診察に限られており、医療全般を指す遠隔医療と比べて狭い範囲を表す用語です。総務省の「遠隔医療モデル参考書 -オンライン診療版-(令和2年5月)」では、遠隔医療を「情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為」と広い意味で定義しています。

オンライン診療はかつて遠隔診療とも呼ばれていましたが、2018年の診療報酬改定からオンライン診療に用語が統一されました。これによって診療報酬にオンライン診療料が創設されるなど、オンライン診療の認知が広がりつつあります。

参照元:総務省|遠隔医療モデル参考書 -オンライン診療版-(令和2年5月)

遠隔医療が必要な背景

遠隔医療は、将来的な超高齢化社会に伴う医療従事者不足や医療の地域格差といった日本の医療現場で懸念される課題の解決方法として必要とされているシステムです。また、遠隔医療によるデータ管理は、住まい、医療、介護、予防、生活支援を一体的に提供する「地域包括ケア」を実現させる解決方法として期待されています。
医療は、必要とする人全員に提供できる体制が求められます。しかしながら、現状では人材不足などの問題によって、離島や山間部などの患者に対して十分な提供がなされていない状況です。このような医療の地域格差を減らすためにも、オンラインで診療が受けられる遠隔医療が必要とされています。

遠隔医療の基本的な考え方は2015年に厚生労働省から「情報通信機器を用いた診療について」で通知され、2018年の診療報酬改定時にオンライン診療報酬が定められました。当時は遠隔医療の体制を構築している施設が少ない状況でしたが、2020年頃から始まった新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で時限的・特例的に規制が緩和されたことを受け、導入が急速に進められました。

参照元:厚生労働省「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」
関連記事:日本の医療における課題とは? 解決に役立つDXと取り組み事例

遠隔医療の種類

遠隔医療の種類は、大きく二つに分けられます。

1.主治医と患者間の遠隔診療

前述のオンライン診療に該当するのが、この主治医と患者間の遠隔医療です。「D to P(Doctor to Patient)」とも表されます。医師と患者のほかに看護師も関わる遠隔医療は「D to N to P(Doctor to Nurse to Patient)」と呼ばれます。D to N to Pは、在宅の患者に対して看護師が遠隔にいる医師の指示を受けながら診療に当たる形態です。

2.医療従事者間の遠隔医療

医療従事者間で行われる遠隔医療は、「D to D(Doctor to Doctor)」とも呼ばれます。これは、主治医が患者の病状などを専門医に相談する際に行われる遠隔医療のことです。CT・MRI画像や健診画像、病理画像などを遠隔地の専門医(放射線科医・病理医など)に提供して診断の支援を依頼する「診断支援」、遠隔地から専門医が診療方法をコンサルテーション・支援する「診療支援」、若手の医師に対して経験豊富な医師が指導を行う「指導・教育」などに分けられます。

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遠隔医療のメリット

遠隔医療は遠隔地間での診察を可能とする以外にも、多くのメリットをもたらします。

1. 継続的な治療を行える

遠隔医療では、診療のために来院する必要がありません。自宅から医療機関までの距離がある場合や、高齢によって医療機関までの往復が大変な場合など、通院の負担によって治療を中断してしまうケースがあります。また、仕事や育児などで忙しく時間が取れない場合にも、通院が続けられなくなるケースが多く見られます。
遠隔医療は、通院が不要となるうえに医療機関での待ち時間もなくなり、通院が難しい患者でも受診しやすくなるシステムです。患者が通院できないまま病状を悪化させるリスクを防ぎ、継続的に治療を行えるようになります。

2. 感染症のリスクを減らせる

医療機関には多くの患者が通院しているため、通院時の待ち時間や診察時に新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症に感染してしまうリスクがあります。遠隔医療は非対面で行われるため、患者と医師の両方が感染症にかかるリスクを防げます。また、幼い子どもや高齢者などの免疫力が低い患者も、遠隔医療を利用することで感染リスクを低減できます。

3. 事務作業の負担を減らせる

遠隔医療を導入した場合、予約・受付・処方・決済などあらゆる事務処理をオンライン上で完結できるため、窓口での受付や案内などの業務負担、事務作業の負担を軽減できます。また、事前問診で症状を確認できるため、診療がスムーズに進められ、治療方針を立てやすいというメリットもあります。

4. 医療行為の地域格差を減らせる

離島や山間部などの医療が不足している地域では、自宅の近くに診察できる医療機関がなかったり、専門医が不足していたりするケースが少なくありません。遠隔医療を受けられる体制を構築することで、このような地域で高度な専門知識が必要になった場合でも、都市部を中心とした遠隔地にいる専門医へのコンサルテーション依頼が可能です。

遠隔医療の抱える課題

遠隔医療には、医師と患者が非対面でも医療行為が行えるメリットがある一方、現状ではまだ以下のような課題も残されています。

  • 遠隔医療はオンラインでの事前問診や患者を画面越しに診ることを通じて行う医療行為のため、患部に直接触れて行われる「触診」「聴診」などが行えない
  • 医療設備が整っていない場合、「レントゲン撮影」「MRI」「血液検査」などの検査が行えない

自治体が推進する遠隔医療の実例

遠隔医療の導入によって、医療格差の生じやすい離島や山間部などの地域でも最新の医療が受けられるメリットから、各自治体が導入支援を行っています。

山口県では県庁と県内の各医療機関、通信企業が連携し、専門的な技能が必要な胃カメラ検査に5G回線を使用する遠隔医療支援の実証事業が展開されました。これは、アノテーションシステムと5G回線を使用してリアルタイムの検査映像を専門医と共有し、専門医が映像への書き込みで指示しながら若手医師へ検査支援を行う取り組みです。

長崎県では、画像や映像の情報が重要とされる脳神経内科・消化器内科・皮膚科領域において正確な遠隔医療を実現するため、ローカル5G回線・ネットワーク機器を整備しました。離島の基幹病院に対して、長崎大学病院の専門医がネットワークを介した診療支援を実施しています。

参照元:厚生労働省|オンライン診療その他の遠隔医療に関する事例集(令和5年8月)(p.38〜41)

【今後の展望】遠隔医療の普及を加速させるIoT (IoTM)

5G回線の普及に伴い、遠隔医療を可能とする環境が整いつつあります。遠隔医療の実現には回線以外にも、各デバイスやシステムなど医療機器技術の発展も欠かせません。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の医療版である「IoTM(Internet of Medical Things)」は、患者のデータ収集などを可能にする技術です。
IoTMの例としては、AI技術を用いた自動問診システム、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスによる患者のモニタリング、遠隔操作による手術を実現する遠隔治療ロボット、ポイントオブケアデバイスによる遠隔検査などが挙げられます。遠隔医療技術の発展によって、普及の加速化が期待されています。

関連記事:医療業界の課題を解決できるIoTとは? メリットや活用事例を解説!

まとめ

遠隔医療では、離れた場所からインターネットを利用して医療行為をします。患者が通院せずに診療を受けられるため、患者の通院の負担をなくせるほか、感染症のリスク軽減や事務作業の負担軽減などのメリットがあります。医療従事者不足の解消につながるとして期待されている仕組みです。

離島や山間部などの地域でも都市部の専門医による診療支援を受けられるなど、医療の地域格差の解消も期待できます。多くの自治体や医療機関が取り組みを推進しており、今後も加速的に普及することが予想されています。

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