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メタバース観光とは? メリットや国内外での取り組み事例を紹介

メタバース観光とは、インターネット上で旅行体験ができる観光サービスです。本記事では、実際に現地へ移動する必要がなく、自宅にいながら世界中を観光できる新しいサービスであるメタバース観光の概要やメリット・デメリットについて、実例を交えて解説します。

メタバース観光とは? メリットや国内外での取り組み事例を紹介

メタバース観光とは

メタバースは、超越を意味する「メタ」と、世界・宇宙を意味する「ユニバース」を組み合わせた造語です。1992年に出版された小説『スノウ・クラッシュ』で使用されていた言葉で、インターネット上の仮想空間を表しています。ユーザーは、インターネット上に広がる三次元の仮想空間のなかでアバターを操作して、ほかのユーザーと交流したり購買活動を行ったりするなど、さまざまな体験が可能です。

メタバース観光とは、VR(バーチャルリアリティ)技術を使用し、メタバース空間で旅行・観光体験を提供するサービスです。ユーザーは、インターネット上の仮想現実空間で観光地を訪れ、旅行や観光、現地での交流、購買活動、イベントへの参加などを楽しめます。

メタバース観光は、デジタル技術を駆使しており、誰もが利用可能な観光サービスです。多様化する消費者のニーズに対応できるなどのメリットから、観光DXやスマートツーリズムにおける具体的な施策のひとつに挙げられています。

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メタバース観光には、VRゴーグルなどのVR機器、スマートフォン、タブレット、PCなどの端末・機器を用いて参加します。それぞれのデバイスを使用してアバターで仮想空間へと遊びに行き、現地の景色を眺めながら観光体験が可能です。専用のVR機器を使って接続すると、観光地の風景やイベント会場などを360度広がる世界として体感できます。

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メタバース観光が普及した背景には、コロナ禍が一因として挙げられます。コロナ禍では外出ができず、人との接触を避けなければならない期間が続いたため、旅行客が激減して旅行・観光業界は大打撃を受けました。メタバース観光は、非接触でリアルな旅行・観光体験ができる新しいサービスとして注目を集め、現在も利用者が増加しています。

メタバース観光は、サービスを利用したユーザーが実際の観光地に興味を抱くきっかけになるなどのメリットもあります。実際の観光ではできない体験も楽しめる新しいサービスとして浸透していることから、コロナ禍が収束したあともメタバース観光の需要は広がると予測されています。

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メタバース観光の6つのメリット

1. リアルな疑似体験

メタバース観光には、実際に旅行をしなくてもインターネット上で観光地を訪問できるメリットがあります。メタバース内では、観光地の絶景スポットや世界遺産などがリアルに再現されています。VRゴーグルを装着して利用すると、周囲に絶景スポットや観光地の街並みなどが広がるため、まるで本当の観光地にいるような体験が可能です。

観光地を散策して、好きな場所や見たい場所へ自由に出かけられる点もメタバース観光の特長です。カメラマンが撮影した観光地の動画を見るのではなく、仮想空間の中で自ら行き先を決めて出かけることができ、リアリティある映像で思い通りの観光を楽しめます。メタバース上ではイベントやツアーも開催されており、参加すれば観光体験をさらに充実させられます。

2. 高いアクセシビリティ

インターネットやVRデバイスを利用できる環境にいれば、いつでもメタバース観光への参加が可能です。コロナ禍などで実際の移動が難しい時期にも、世界中の好きな場所にアクセスして観光を楽しめます。仮想空間での観光なら、長い距離を歩くのが難しい高齢の人、病気や障害で移動が難しい人など、遠距離の旅行が困難な人でも簡単に利用できます。

直接現地を訪れる観光は移動に時間がかかり、旅行当日に天候が悪化して巡りたかった場所に行けなくなるケースも少なくありません。一方、メタバース観光はいつでもすぐに観光地への訪問が可能です。観光に最適な季節や天気も再現されるため、目的の土地をトラブルなく回れます。

さらに実際の旅行では、移動の際に乗り物の燃料エネルギーなどもかかるため、環境への負担も生じます。対して、メタバース観光は仮想空間を利用するため、環境への負荷を軽減可能です。

3. 文化・歴史の保存と普及

観光地のなかには、歴史的な城や寺院といった重要文化財が保存されており、観光客が立ち入りできない場所もあります。実際に旅行に出かけても、貴重な品物などが置かれているエリアには、基本的に立ち入りできません。

メタバース観光では、一般的に非公開とされるエリアや展示品が公開されているケースがあります。VRの環境は物理的に非公開エリアに立ち入るわけではないので、文化財を破損する心配はありません。また、通常時は保管のために一般公開されていない貴重な品がある場合も、メタバース内ではいつでも見学が可能です。

メタバース観光では歴史的・文化的な場所を訪れるだけでなく、建物や展示品を拡大して細部まで見学・鑑賞できるため、教育や学習での利用にも最適です。貴重な歴史ある品々は安全なところに保管したまま、重要な歴史や文化を多くの人が目にする機会を増やせることから、文化の普及と保存も可能になります。

4. コミュニティ構築

メタバース内では、アバターでほかのユーザーや現地のスタッフとコミュニケーションをとることも可能です。アバターを使い、観光地を散策しながら、実世界と同じ感覚でほかのアバターに話しかけるなどの交流が楽しめます。

旅行先では、歴史や文化に親しむ観光のほかに、イベントへの参加、アクティビティなどの体験も可能です。同じ趣味をもつユーザーが集まって旅行の情報共有などを行えるため、仮想的なコミュニティを構築する機会にもつながります。観光スポットやお店などで現地スタッフに質問するといったコミュニケーションをとることもでき、さまざまな交流によって充実した観光体験が実現します。

5. 新たな収益源の創出

メタバース観光では、実際の店舗を訪れなくても、商品の販売やサービスの提供などを行えます。現実世界で費用をかけて新しい店舗を建てることなく仮想空間上で営業できるため、経営コストの削減が可能です。メタバース内では、ユーザーがお土産の購入やイベントへの参加もできるため、バーチャルグッズやデジタルチケットの販売といった新たな収益源の創出にもつながります。

また、メタバース内では、建物や看板などに企業や商品の動画・広告を掲載することも可能です。広告を掲載すると、ユーザーの参加料以外にも企業からの広告収益が得られます。メタバース内のイベントスペースなどで商品・サービスのPRイベントを開催するケースもあり、広告収益が新たな収益源になります。

さらに、メタバースで観光地を巡るユーザーに向けた仮想のツアーガイドを提供するなど、新しい収益源の創出が可能です。

6. 地域課題の解決

メタバース観光は、幅広いユーザーに観光スポットの魅力をアピールできる手段です。旅行が難しい状況にある人たちもメタバース観光の対象となり、多様なユーザーに地域の魅力をボーダーレスに伝えることができます。人口減少や過疎化などの問題を抱える地域が活用すれば、多くのメリットを得られると期待できます。

メタバース観光によって地域に興味を持ったユーザーが現地を訪れたり、メタバース観光の体験がSNSで拡散されて観光地の人気がアップしたりすれば、地域の活性化につながります。さらに、メタバース空間は入場手続きなどが不要であるため、人件費を抑えつつ魅力的な地域イベントを開催可能です。メタバース観光で世界中に地域の魅力を発信することは、観光客の増加や新たな雇用創出にも効果的です。

メタバース観光のデメリット

費用面でのデメリット

メタバース観光には、デメリットもあります。まず挙げられるのは、費用面でのデメリットです。

メタバースを利用するための仮想空間を構築しなければならないため、高額な初期費用が必要です。導入時には、メタバース観光用のシステム開発、ユーザーが楽しめる美しい映像の制作など、さまざまな費用がかかり、システムのクオリティによっては数千万円ものコストがかかるケースもあります。

ただし、一度メタバースを構築すれば、その後も継続的に利用可能です。実際の旅行とは異なり、毎回かかる人件費などの費用が抑えられることから、長期間利用する場合にはかえってコストパフォーマンスが良くなります。導入の際には、長期的な視点で費用の回収や収益に関して検討することが重要です。

運用面でのデメリット

メタバースの構築後には、メタバース観光のシステムやサービスを運用していかなければなりません。システムの監視、更新、トラブル対応といった運用保守をはじめ、集客のためにコンテンツの情報更新や魅力的なイベントの開催といったプロモーションの実施も必要です。

長期的な運用を行うには、専門的な知識を持った人材をそろえて運用体制を整えておくことが重要です。安定した運用管理を行える適切な体制を整えること、システムの改善や新たなコンテンツの追加を行うことなど、サービスを利用するユーザーのニーズに応える対応が求められます。

メタバース観光の取り組み事例8選

国内外における自治体・国主体での取り組み事例

大阪|バーチャル大阪

「バーチャル大阪」は、“City of Emergence”(創発する都市)がテーマの都市連動型メタバースです。2025年の大阪・関西万博開催に向けて制作、公開されました。3Dバーチャル空間に再現した大阪の街で、エンターテインメントや交流、創作活動などが行えます。

「バーチャル大阪」には、アプリをダウンロードしたデバイスからいつでも参加が可能です。道頓堀、大阪城など現代の大阪の街並みが楽しめる「新市街」、大阪の文化・歴史が感じられる「今昔街」などのエリアをアバターで散策でき、ゲームにも挑戦できます。世界中の人とリアルタイムでコミュニケーションがとれる、バーチャル音楽ライブをはじめ多様なコンテンツに参加できるなど、全世界に新しい大阪の魅力を発信しています。

参照元:バーチャル大阪

沖縄|バーチャル沖縄

2021年、コロナ禍にオープンした「バーチャル沖縄」は、人気の観光地沖縄を再現したメタバース空間です。那覇市の人気観光スポットを舞台にした「国際通りエリア」「首里城エリア」「ビーチエリア」「居酒屋エリア」などのエリアがあり、各エリアで沖縄観光や交流を楽しめます。

沖縄の美しい海や自然など、魅力的な風景を360度のバーチャル空間で楽しめる映像体験、三線奏者の演奏を鑑賞できるライブなど、沖縄の伝統文化や伝統芸能に触れられるコンテンツも準備されています。人気のお店とコラボしており、公式オンラインショップでさまざまな商品の購入もできるため、沖縄の魅力発信と経済の活性化につながっています。

参照元:バーチャル沖縄

京都|NAKED GARDEN ONE KYOTO

クリエイティブカンパニーのネイキッドが、京都市や宇治市、滋賀県大津市などと提携して制作したのが「NAKED GARDEN ONE KYOTO」です。「リアルの京都」と「メタバースの京都」をかけ合わせて行うアートイベントで、さまざまな京都の文化やアート体験を楽しめます。

リアルな京都で実施されるアートイベントに加え、メタバース化された世界遺産の二条城や平安神宮、仁和寺、興聖寺のアートイベントも開催しています。メタバースの京都には、アバターで参加が可能です。アバターで着物ファッションショーに参加してモデル体験をしたり、いけばな制作に参加できるイベントを開催したりなど、京都とアートを組み合わせた新しい魅力を発信しています。

参照元:NAKED GARDEN ONE KYOTO

島根|しまね縁結び商店街

「しまね縁結び商店街」は、松江・出雲商工会議所と島根城下町食文化研究会が手掛けるメタバースです。商店街にはECサイトと連動して島根県の特産品などを取り扱うお店が並び、日本初の商的交流空間として見て歩くだけでなく気軽に買い物まで楽しめます。

商店街は仮想空間「GAIA TOWN」にあります。パソコンで作成したアバターで商店街を訪れたら、各店舗や商品を見て回り、気に入ったものがあったら購入したり、商談したりすることも可能です。

「しまね縁結び商店街」は、コロナ禍で観光客が減少し、地元の物産などの販売数が低下した問題を受けて制作されました。実際の店舗と同様にスタッフからの説明を聞いて買い物ができる商店街で、地域経済の活性化、島根の魅力発信を行っています。

参照元:日本商工会議所 仮想空間で買い物を楽しめる「しまね縁結び商店街」オープン

文化庁|バーチャル日本博

文化庁が公開している「バーチャル日本博」は、通常のデジタルコンテンツだったものを2022年にメタバースとしてリニューアルしたサービスです。メタバース内をアバターで自由に回りながら、展示されている日本の文化をVRでリアルに体験可能です。

「バーチャル日本博」では、縄文時代の文化財から現代のマンガ・アニメまで、さまざまな日本作品、伝統芸能などに関連するコンテンツを設けています。大型ディスプレイが設置された「メインスクエア」から、「森のビレッジ」「水のミュージアム」「木の芸術劇場」の各エリアに移動し、さまざまなアートや文化財、芸術に関するコンテンツを体験可能です。美術館の企画展などのオンラインライブツアーも開催され、国内外に日本文化の魅力をPRしています。

参照元:バーチャル日本博

韓国|メタバースソウル

韓国のソウル市では、世界で初めてメタバースで行政サービスが受けられる「メタバースソウル」を展開しています。これは、韓国の10大観光名所や「ソウル広場」「相談ブース」などのコンテンツが利用できる行政プラットフォームです。企業の経済支援や苦情相談など、各分野の行政サービスをメタバース上で利用できたり、アバター同士でコミュニケーションをとれたりと、自由度の高いプラットフォームとなっています。

2026年の完全運用を目指して、住民登録謄本などの書類発行、自動車税などの税額照会、税務相談、青少年相談、スタートアップ企業の投資相談支援など、さまざまなサービスをメタバース上で利用可能にするために運用を進めています。

参照元:ソウル特別市庁 メタバースソウル基本計画

企業主体での取り組み事例

航空会社|バーチャルトラベルプラットフォームの設立

民間の航空会社がメタバースを導入した事例もあります。「バーチャルトラベルプラットフォーム」は、観光やショッピングなどさまざまな体験ができるメタバース空間です。メタバース内には、世界の絶景スポットや人気の都市を観光できる「Skyパーク」、空港でのショッピングやイベントなどが楽しめる「Skyモール」、医療・教育・行政などのサービス提供を予定している「Skyビレッジ」の3種類のエリアがあります。

「Skyパーク」の旅行体験では、行き先や好きな旅行スタイルなどを設定でき、最大8人まで同時に旅行体験が可能です。さらに、旅行体験の内容から実際の旅行プランの提案、予約受付まで行うトータルサポートを実施しています。

ホテル運営会社|メタバース内にバーチャルホテルの再現

メタバース内でホテルを運営しているケースもあります。実際に運営しているホテルをバーチャル上で再現し、参加者たちが探索やイベントを楽しめる場として提供しています。ユーザーは、メタバース上に展開している仮想ホテルにアバターで参加して、ほかのユーザーとの会話やホテル内の探索を自由に行えます。

メタバースのホテルでは、レンタルしたスペースでイベントを開催することも可能です。参加者がホテル内を探索している際に、自分のアバターのスクリーンショットをSNSにアップすると、現実のホテルのクーポンが当たるチャンスがあります。メタバース上のホテルを通じて、実際のホテルの認知度や集客アップにつなげています。

まとめ

メタバース観光の導入は、インターネット環境やSNS上でのコミュニケーションが普及した現在、さまざまな地域・組織が実施もしくは検討しています。メタバース観光は、場所や時間を問わず手軽に利用できるため、今後も普及が加速すると予想されています。さらに、現在問題となっている、地域の衰退や環境負荷といった課題解決にも有効な手段です。

メタバース空間の構築には、機能やコンテンツを搭載するためにさまざまな技術を駆使する必要があります。

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