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スマート林業とは? メリット・活用できる技術・導入での課題を解説

ドローンや地理情報システム(GIS)などを使ったスマート林業は、生産性や安全性の向上、人材不足といった、現在、林業が抱える課題を一気に解決できる有効な手段として注目されています。

本記事では、スマート林業の概要をはじめ、林業が抱える課題、スマート林業を導入するメリット、スマート林業で活用されている先端技術についてまとめました。さらにスマート林業を導入するにあたって把握しておくべき課題について解説します。

スマート林業とは? メリット・活用できる技術・導入での課題を解説

スマート林業とは?

スマート林業とは、ICTやロボット、クラウドなどの先端技術を活用し、林業における効率化・省力化を図る施策のことです。また、林業を魅力的な職場とすべく、労働力不足の解消や安全な職場づくり、生産性の向上などを目指した取り組みでもあります。

スマート林業では、林業として行う計画から造林・育林、伐採・搬出などの素材生産、販売・活用といったすべての工程で最新のデジタル技術を活用できます。特にスマート林業では、先端技術を用いて得た各種データが非常に重要な役割を担っており、分析・活用することで成長予測、病害虫予測、伐採時期の最適化などが実現可能になり、災害対応にも役立ちます。

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林業の抱える課題

現在、林業が抱える課題は深刻なものが多く、林業に携わる人々の頭を悩ませています。ここでは林業が抱える主な課題について解説します。

生産性が低い

林業は植林から収穫までにかかる期間が長く、成長中は除伐費用や間伐費用、伐採後は再植林費用といったように長期投資が必要です。しかし、林業ではこの投資に対して見合った収入を得るのが困難であり、ほかの産業と比べて生産性が低いとされています。

また、昭和30年代から外国産木材の輸入自由化が進んだことで、国産木材の需要と価格が下落し、経営が厳しい状況に追い込まれているところも少なくありません。さらに林業で十分な収入が得られないことで、森林の整備や生産にかかるコストが捻出できず、森林の荒廃による土砂災害のリスクも課題になっています。

安全性が低い

林業は厳しい自然環境の中で手入れや伐採などを人手で行うことが多く、高所作業や危険な機材を扱うことから、作業中の事故リスクが高い産業です。特に小規模事業者などは、安全管理についての専門家を配置することが困難であり、十分な安全対策がなされていません。実際、林野庁が公表する「林業労働災害の現況」の労働災害の発生率を見ても、林業は建設業や鉱業、製造業などより突出して災害の発生度合いが高く、全産業の中でも最も高い発生率をマークしています。つまり、安全性が低いと言わざるを得ないのが現状です。

そのため、林業の労働災害撲滅には、安全のためのあらゆる取り組みが求められます。

参照元:林野庁「林業労働災害の現況」

林業従事者が高齢かつ減少している

総務省が行った国勢調査によると昭和55年に14万6,000人だった林業従事者は、年々減少し続け、令和2年には4万4,000人にまで減っています。また、高齢化率(65歳以上の割合)も全産業平均が15%に対し、林業は25%と高い水準です。日本全体の社会問題である少子高齢化が背景にあるものの、体力的にもきつい作業が多く、比較的安全性の低い林業では、従事者の減少や高齢化は深刻な問題です。

ただし、新規就業者数は増加傾向にあります。これは林野庁の補助事業である「緑の雇用」が関係していると考えられます。緑の雇用とは、新たに林業に就業する人たちに対し、必要な知識や技術を学んでもらうための制度です。全国森林組合連合会が実施主体として行っており、これにより実施以前は年間平均2,000人ほどであった新規就業者が、実施後年間平均3,200人ほどまで増加しています。

参照元:林野庁「林業労働力の動向」

スマート林業を導入するメリット

スマート林業の導入は林業が抱える課題の解決につながるさまざまなメリットが期待できます。

生産性を向上できる

スマート林業の導入は、生産性の向上に寄与します。

たとえば、遠隔操作による伐採やICT技術を駆使した労働状況および生産の管理、ドローンによる苗木の運搬など、人的作業を削減することで一人あたりの生産性向上が実現できます。特にICT技術を活用した生産管理では、レーザ光を照射して高さを測る「レーザ計測」が有効です。従来、広大な森林の管理には膨大な人員と時間をかける必要がありました。しかし、レーザ計測で取得したデータがあれば、樹高だけでなく森林蓄積を正確に推測しやすくなり、さらに地形をより細かく把握できることから、生産管理における作業の効率化が図れます。

労働安全の確保につながる

林業の労働災害発生率の高さは長年にわたる深刻な課題です。しかし、スマート林業の導入によって労働者の安全確保が期待できます。

たとえば、労働事故の発生が多い伐採作業の自動化や機械化が進むことで、労働安全と生産性の向上が見込めます。また、栃木県が主導する「とちぎデジタルハブ」では、林業従事者が安全に作業できるプロジェクトを立ち上げ、位置情報共有機能がついた緊急時通報装置の開発や音声に対応する距離測定アプリの開発などが進んでいます。

人材不足問題を解消できる

林業従事者の減少や高齢化は林業を活性化させるうえで解決したい問題ですが、デジタル技術を活用したスマート林業を進めることで、省人化が図れて人材不足改善が見込めます。

たとえば、ドローンと地理情報システム(GIS)を組みあわせて活用することで、森林データの蓄積およびデータの一括管理ができます。必要最低限の人員だけで管理できることから、人員的な経費削減ができ、人材不足解消の手助けにも役立ちます。

スマート林業において活用されている技術

スマート林業では、どのような先端技術が活用されているのでしょうか。ここでは、スマート林業で使われる主なデジタル技術を紹介します。

航空レーザ測量

航空レーザ測量とは、航空機に搭載したレーザ測量装置を用いて、地上の標高および地形形状を調べるシステムのことです。

それまで主流だった写真測量では、葉が生い茂る森林や地形の影となる障害物がある森林の地形把握は難しく、時間もコストもかかっていました。しかし、航空レーザ測量であれば、広範囲を効率よく測量でき、また写真測量よりも密度の高いデータが取得できます。さらに近年はドローンによるレーザ測量も進んでいます。ドローンでのレーザ測量は、航空機よりも低空かつピンポイントに測量できるため、より精度の高いデータを短時間かつコストを抑えて取得できます。

ドローン

ドローンもスマート林業になくてはならない技術です。ドローンは計画の段階から管理段階まで幅広く活用できる技術であり、さまざまな作業に導入されています。

まず、森林の計測や調査です。ドローンに高性能カメラを搭載することで、人が分け入って測量するのが困難な場所でも測量・調査ができ、撮影データを解析することで樹木の位置情報をはじめ、樹種や本数、樹高、木の曲がりまで測定できます。また、苗木の運搬や薬剤散布なども可能です。このようにドローンを活用することで、作業効率向上や労働力・コスト削減が図れ、今まで人手で行っていた危険作業も任せられることで、安全性も高められます。

関連記事:林業の課題解決にドローンを活用するメリットとは? 成功事例も紹介

地理情報システム(GIS)

地理情報システム(Geographic Information System)とは、さまざまな地理空間情報を持つデータを電子地図上で管理・加工できる情報システム技術のことです。

これまでの森林管理では地図を活用していましたが、地図は位置の特定がしにくく、山林に行く際には案内人を伴わなければならないなど、時間や手間がかかっていました。しかし、GISを利用した森林管理システムを使えば、GPS端末を持って行くだけで行きたい場所にたどり着け、切り残しや作業ミスによる誤伐が防げます。また、自然災害時の状況把握にも役立ちます。

クラウド

森林管理には林業従事者や所有者、自治体、研究者などさまざまなユーザーがかかわっており、森林を適切に管理するには、森林計画の運用や森林整備促進、保安林の管理などが必要です。これらの管理で役立っているのが、森林クラウドシステムです。クラウドシステムを導入することで森林情報をリアルタイムで共有・活用でき、業務効率化や生産性の向上などが期待できます。実際、各都道府県では森林管理の基礎となる森林簿や森林基本図などの情報をデジタル化し、一元管理しています。林野庁でもクラウドのベースとなる「標準仕様書」を作成し、それに基づく「森林クラウド」の導入を推進しています。

参照元:森林クラウド

スマート林業導入にあたっての課題

スマート林業は、現在林業が抱える問題の解決に有効な手段ですが、導入にあたってはいくつか乗り越えなければいけない課題があります。たとえば、スマート林業の推進にはデータを用いた情報基盤の構築やデータを用いての管理・運営ができる人材の確保が欠かせません。また、ドローン操作などの専門的技術や知識を備えた人材の育成も必要です。さらにあらゆる自然環境で行われる林業では、電波状況の懸念もあります。電波状況が悪いとクラウドとの通信ができなくなるといったリスクがあることも把握しておくことが重要です。

このようにスマート林業導入には、いくつか仕組みを整える必要があります。しかし、森林・林業DXを推進することで、これまでの林業では難しかった安全性を確保できるだけでなく、生産性の向上や人員コストの削減などから事業継続がしやすくなり、地域産業の安定につながるなど、さまざまなメリットが期待できます。

まとめ

スマート林業とは、ドローンや地理情報システム(GIS)などの先端技術を駆使することで、森林施業の効率化・省力化を図る取り組みです。現在、林業従事者は、生産性および安全性の低さ、林業従事者の高齢化や減少などの課題を抱えていますが、スマート林業を導入することで生産性の向上や安全性の確保、人材不足の解消が期待できます。スマート林業ではデジタル技術の導入が不可欠であり、初期費用や仕組みの整備が必要ですが、森林・林業DXを進めることで得られるメリットは大きいです。

そのため、スマート林業に興味のある方は、まずは専門コンサル会社や自治体に相談してみるとよいでしょう。

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