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デジタル田園都市国家構想とは? わかりやすく基本方針を解説

デジタル技術を利用して地方を活性化するデジタル田園都市国家構想は、現在国が推進している重要な政策のひとつに数えられています。この記事ではデジタル田園都市国家構想の基本方針を示したうえで、構想を実現するとどのようなメリットが得られるのかを紹介します。また、構想を実現するためのポイントや、構想を支える基盤作りなどについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

デジタル田園都市国家構想とは?基本方針について解説

デジタル田園都市国家構想とは、同法律の規定に基づいて作られた総合戦略であり、2022年12月の閣議決定で改訂された最新の戦略です。デジタル技術によって地域間の格差を解消し、日本のすべての地域が社会課題を克服して地域の個性を発揮できるようにすることで、日本全体の活性化を加速するというのが、その基本方針です。

日本では少子高齢化が進むことによる人口減少に加え、日本中のいたるところから東京へと人が流出することにより、過疎化や地域の産業が衰退する問題が深刻化しています。そこで、日本の人口減少を食い止め、東京に集まりすぎた人々を地方に分散させて日本全体を活性化し、今後の日本が希望を持ち続けられる国となるように、「まち・ひと・しごと創生法」が制定されました。デジタル田園都市国家構想は、この「まち・ひと・しごと創生法」を基にした総合戦略でもあります。

デジタル技術を効果的に活用して、東京に引けを取らない利便性や快適さを地方でも得られるようにし、日本全域を生活しやすくて魅力あふれる場所に変革することで、すべての地域で持続可能性の向上を目指します。デジタル田園都市国家構想を実現するにはデジタル基盤の整備が欠かせないため、デジタル庁が積極的にその整備をリードしています。
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デジタル田園都市国家構想を実現するメリット

デジタル田園都市国家構想で解決できる、地方の課題について3つ紹介します。実現することで、さまざまな課題を解決できると考えられています。
 

地方への仕事や人の流れを生み出す

若者や働き盛りの人々にとって魅力的な進学先や就職先が不足し、その結果東京に出ていく人が増えて、地域の人口減少が加速していることが地方の大きな課題です。デジタル田園都市国家構想では、東京に匹敵する学びの場や産学官連携の足掛かりを作って課題解決に役立てようと、東京やその周辺に校舎を構える優れた教育機関の教育を地方に導入するサテライトキャンパスの設置などに取り組んでいます。

また、地方にいても東京のオフィスに出社するときと同様の働き方ができるテレワークの推進にも力を入れています。さらに、地方大学などの力を借りて各地域からデジタルイノベーションが起こるように産学官で協力したり、地域の中小企業にデジタルトランスフォーメーション(DX)を導入して生産性を向上させたりするなどの取り組みも行うことができます。

このように、デジタル田園都市国家構想が掲げるさまざまな取り組みが成功すれば、都市から地方への人の流れを生み出せ、各地域が経済発展に必要な人口を確保できるかもしれません。そうなれば、地域の産業が発展して新たな雇用が生まれ、地域間格差を感じることなく地方で稼げるようになる可能性があります。

結婚や出産、子育ての希望を叶える

若者たちの出会いの場が少なくて結婚相手を見つけられなかったり、若者が結婚、出産、子育てについて真剣に考えたときに金銭面やキャリアの問題などから断念したりするのが現在の日本です。そこでデジタル田園都市国家構想では、未婚率を下げるためのマッチングシステム、結婚を後押しする経済的な支援、出産や子育てを支援する育児休暇の取得促進や職場復帰の支援、母子健康相談のオンライン化などさまざまな取り組みを行います。このような施策によって若い女性も男性も育児をしながら働ける環境が整えば、結婚して子供が欲しいけれども、諦めざるを得ないという事態を回避できるはずです。

地方でも魅力を感じられる地域が増える

地方では東京に比べて医療機関や学校の数が圧倒的に少なく、必要なときに医療を受けられなかったり、希望する教育を受けられなかったりすることが多々あります。また、地方では家から歩いて行ける距離に病院やお店がないことも珍しくなく、自家用車を運転できないと通院や買い物が困難です。

しかし、デジタル技術を活用すれば、遠隔医療の活用やドローンを使った物流サービスなどによって、医療、教育、物流、地域交通などの質や利便性の向上が期待できます。また、資源の地産地消でエネルギー自給率を上げるなどして地域の持続可能性を向上させ、地域が誇る文化や芸術などの価値を一層高めることで、地方でも魅力を感じられる地域が増えていくはずです。さらに、デジタルを活用した防災・減災や地域コミュニティづくりにより、地方でも不安なく生活できるようになることが期待されます。
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デジタル田園都市国家構想実現のポイント

デジタル人材を育成させるためのプラットフォームを構築する

デジタル田園都市国家構想を実現させるには、相当数のデジタル人材が必要です。現在日本ではデジタル人材が著しく不足しているため、まずは人材育成のためのプラットフォームづくりを急いで行わなければなりません。
それには、育成指針として定められた「DXリテラシー標準」に基づいて、育成に必要な教育コンテンツを豊富に用意しておく必要があります、また、企業内のDXや各産業のDXを支え、地方を活気づけられるデジタル人材の育成には、地域のニーズにあった実践的な学びも欠かせません。

デジタル分野の職業訓練を重点的に実施する

デジタル田園都市国家構想の実現には、デジタル人材を日本全国に散在させ、企業が労働市場で必要なデジタル人材を確保できる状態にすることが不可欠です。したがって、デジタル分野における職業訓練の種類や数を増やして重点的に実施するとともに、企業や労働者のニーズに合った人材育成を行わなければなりません。

地方の高等教育機関からデジタル人材を輩出・還流させる

データサイエンスなどのデジタル関連教育を地方の高等教育機関で強化することも、重要なポイントのひとつです。卒業生を毎年労働市場に送り込めるようにすることで、デジタル人材を安定して輩出できる体制を整えることが、デジタル田園都市国家構想の実現に役立ちます。

また、自治体・企業が地方の大学・高等専門学校の協力を得て、社会人を学校に戻して職務に必要なデジタルの知識や技術を習得できるようにすることも大切です。さらに、東京の高等教育機関でデジタルを学んだ若者が地方で就職したり、起業したりするのを支援することで、デジタル人材を還流させることも忘れてはなりません。

デジタル田園都市国家構想を支える基盤を作るには

デジタルインフラの整備やデータ連携の構築を行う

デジタル田園都市国家構想を支える基盤作りの一環として、高速での通信に欠かせない光ファイバ、第五世代移動通信システム(5G)やその先にあるBeyond 5Gなどの通信インフラの整備する必要があります。また、これらのハードインフラ整備と並行して、行政機関間、地方公共団体間、企業間などで情報連携するためのデータ連携基盤の構築など、ソフトインフラの構築も行わなければなりません。

マイナンバーカードの利用を促進する

デジタル田園都市国家構想を支える基盤のひとつとして位置づけられているのが、他人の情報が紐づけられるなどのトラブルが多発して問題となっているマイナンバーカードです。マイナンバーカードは健康保険証や在留カードなどと一体化し、民間ビジネスで本人確認に利用できるよう、取り組みが進められています。

公共交通ネットワークを整備する

リニア新幹線や地域の公共交通ネットワークもデジタル田園都市国家構想を支える大事な基盤であり、整備を進めているところです。地域を走る既存の鉄道やバスについては、持続可能性や利便性が向上するように実証事業を行いながら、必要な対策を進めて再構築します。また、最新技術を取り入れて、高速で安定して運行する交通インフラを整備することも重要です。

エネルギーインフラをデジタル化する

エネルギーインフラのデジタル化は、再生可能エネルギーで生み出した電力を最大限に活用し、電力の安定供給を実現する基盤となります。

日本ではこれまで最悪の気象条件時に電線の機械的強度が低下して事故が起きないように、あらかじめ電力容量を規定し、それを下回る容量で送変電設備を運転してきました。そのため、太陽光発電などで生み出した電力が送電可能な容量を超えた場合には、送電できない無駄なエネルギーとなっていました。

しかし、センサーで気温などの気象データを常時計測し、そのデータに基づいて送電可能量をコントロールして送電線の電力容量を最大化するダイナミックレイティング技術が利用できれば、送電できずに捨てていた再生可能エネルギーを最小限に抑えられます。

また、停電を防いで電力を安定供給するためには、次世代スマートメーターの導入も効果的です。次世代スマートメーターは、各家庭に供給される電圧などをモニタリングしてコントロールし、取得したデータを活用することにより、停電時間を短縮したり、出力抑制を減らしたりできます。

誰もがデジタル化から取り残されないための取り組みも重要

デジタル田園都市国家構想では、デジタル化の恩恵を受けられない国民が一人も出ないようにすることを目標に掲げています。離島や山間部に住んでいる人も、高齢者も、障害者もデジタルを活用して、よりよい生活が送れるようにならなければなりません。

そこでデジタル機器の使い方が分からない人々の相談に乗り、使い方などを教えてサポートするデジタル推進委員を日本全国に展開させています。また、デジタル共生社会を実現するために、地域の子どもが集まって情報通信技術に関するスキルを身に着けられる地域ICTクラブや、障害者向けのデジタル機器に関する相談を受け付けるサポートセンターなどの設置を進めています。さらに、経済的な問題でデジタル機器の利用が困難な人を取り残さないためには、低所得者でも利用できる通信環境を整備したり、学校で生徒が自分専用に使える端末を用意したりするなどの取り組みも重要です。

行政サービスについては、市民が安心して利用できるように市民の目線に立って、サービスを構築する必要があります。

デジタル田園都市国家構想で私たちの生活はどう変化する?

地方の魅力が向上

デジタル田園都市国家構想が実現した場合には、人口が集中していた東京から地方へと人が移動し、今よりも地方の魅力がアップすると考えられます。

今地方では、デジタル田園都市国家構想交付金などを利用して作ったサテライトオフィスが整備されつつあり、本社を東京から地方に移転する企業も出始めています。また、農業が盛んな地域では、自動運転の田植え機や人工知能を搭載した収穫ロボットなどを活用したスマート農業が普及し、農作業の大部分が自動化できる日も近いかもしれません。さらに、オンライン診療や医療用ロボットを活用したスマートヘルスなどの事業も推進されており、地方に住んでいても高度な医療が受けられるようになると予想されます。

暮らし方や働き方が変化する

デジタル田園都市国家構想が実現すると、私たちの暮らし方や働き方が大きく変化するかもしれません。特に子育て世帯や高齢者世帯が、地方に在住していても暮らしやすくなると予想されます。

今は車が運転できないと通院も買い物も難しい地域であっても、将来、自動走行車による送迎やドローンによる購入商品の配達などが実現すれば、運転免許がなくても特に不便を感じないかもしれません。テレワークがさらに普及してさまざまな業種に広がれば、子育てや介護に忙殺されて働くのを諦めていた人々が、短時間でも働ける可能性が高まります。また、子どもが成長して高校や大学へ進学する際に、どこにいてもオンラインでグローバル水準の教育が受けられるようになります。

デジタル田園都市国家構想で地域間の格差が解消すると、進学や就職のために故郷を離れる若者が減り、東京から移住してくる人々が増えて、地域に活気が戻るかもしれません。

デジタル田園都市国家構想は日本が抱える課題をデジタル技術の活用で解決し、明るい未来を切り開こうとする政策であり、これからの日本を支える私たちがその内容を把握しておくことは大変重要です。少子高齢化でこれから先も人口が減り続ける日本では、将来にわたって国が発展し続けるために、デジタル技術の効果的な活用が欠かせません。最新のデジタル技術を駆使して自動化できるところは自動化し、オンラインを有効利用して生産性を上げるために、足りない知識は学んで補うという姿勢が大切です。
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