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オープンデータの活用事例10選! 言葉の意味や活用の注意点を解説

オープンデータとは、国や公共団体などが公開する情報のことです。近年、オープンデータを活用して新たなビジネスを展開する企業が増加しており、オープンデータを利用した社会の課題解決やデジタル社会の実現に向けた取り組みが進んでいます。本記事では、オープンデータを活用した成功事例を紹介し、活用の注意点も解説します。

オープンデータの活用事例10選! 言葉の意味や活用の注意点を解説

オープンデータとは?

オープンデータとは、国や地方公共団体、事業者が公開しているデータのことです。個人や企業が独自で調査できない、もしくは困難である信頼性の高いデータを誰でも無償で利用でき、複製・加工、さらには二次利用もできます。オープンデータの目的は、活用によって新たなサービスを生み出すなど、経済の活性化に役立てることです。加えて、行政の高度化および効率化、透明性・信頼性の向上にも寄与します。

オープンデータは、種類によって省庁や地方公共団体、独立行政法人などさまざまなところから入手できますが、中央行政のオープンデータポータル「e-Govデータポータル」の利用が便利です。「人口・世帯」「社会保障・衛生」「教育・文化・スポーツ」など、さまざまな切り口からオープンデータが登録された「データセット」を見つけられます。

参照元:「e-Govデータポータル」

オープンデータの種類

国が地方公共団体に向けてオープンデータ化を推奨するデータの種類は、「基本編」と「応用編」に分けられます。

基本編では、AED設置個所や医療機関、観光施設などの一覧や、オープンデータ自体の一覧、地域・年齢別人口など14種類が推奨されています。一方応用編は、都市計画基礎調査情報や食品等営業許可・届出一覧などの5種類です。地方公共団体が保有するデータのオープンデータ化に取り組みやすいよう、フォーマットも公開されています。

データカタログとは

データカタログとは、多くのデータから目当てのデータを見つけ出せるよう、カテゴリ分けなどを行っているシステムのことです。たとえば、デジタル庁が運営している「e-Govデータポータル」では、データの内容で検索できる全文検索機能や、オープンデータを図表およびグラフで可視化できる機能などが搭載されています。

データカタログにより、膨大に蓄積されたオープンデータから、最適なデータを見つけ出すことが可能です。
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オープンデータの活用事例10選

災害対策や防犯、観光、まちづくりなど、あらゆる分野に利活用できるのがオープンデータです。ここでは、社会課題の解決およびデジタル社会の実現に向けて、オープンデータがどのように活用されているのかをデジタル庁の「オープンデータ100」を参考にして紹介します。

参照元:「オープンデータ100|デジタル庁」

1. 台風リアルタイム・ウォッチャー

気象庁が提供する気象情報に加え、多数の人々からの災害発生情報を地図上に表示し、リアルタイムの災害発生状況を伝える「台風リアルタイム・ウォッチャー」。人が持つ「センサー」を活用することで、気象情報だけでなく、実際の被害状況を即時伝えられるサービスとして、地域の災害対策に役立てられています。

マップ上に台風や豪雨、噴火、地震などの災害種別に応じて色分けされたアイコンが表示されるようになっており、アイコンをクリックすることでその地域の被害状況および減災レポートが表示される仕組みです。これまで、オープン化されていなかった減災レポートに加え、さまざまなオープンデータを加工・編集することで新たなサービスとして誕生しました。リアルな災害状況を把握できるサービスを提供することで、社会全体の減災に取り組みます。

2. 5374(ゴミナシ).jp

いつ、どこで、どのごみが捨てられるのかを知ることができる「5374.jp」は、地域により異なるごみの収集日や細分化するごみの分別を地域の人々に把握してもらうために金沢市で生まれたサービスです。現在の居住地だけでなく、引越し先や旅先でのごみの捨て方も簡単に知ることができ、いつでもどこでも適切にごみが捨てられるようになりました。使用しているオープンデータは、各自治体のごみ収集情報です。

居住地を設定することで、収集日が自動的に更新されます。また、ごみのジャンルを色分けして表示し、ジャンルをタップすることで捨てられるごみの一覧を見ることが可能です。さらに、公式サイトにおいて5374.jpのソースコードがオープン化されており、各自治体の収集情報を利用することで簡単にその自治体の5374.jpを作成できます。今では全国各地で作成され、ごみ捨てに関わる地域課題の解決に役立てられています。

3. バスロケ

「バスロケ」は、バスの走行位置に加え、車載カメラによる道路状況の確認も行えるシステムです。主に、停留所情報や運行系統、現在位置、遅延情報、ナンバープレートなどのオープンデータを活用しています。バスの現在位置やバス停を通過した時刻を把握できることで、事務所側によるバスの正確な運行管理が可能です。また、バス利用者に向けて、「バスまだ」というサービス形態で提供しており、オープンデータとしても公開されています。

利用者向けに提供しているのは、目的に応じた「時刻表タイプ」「地図タイプ」「一覧タイプ」「マニアタイプ」の4種類の情報です。バスの現在の混雑状況、遅延状況などが一目でわかるため、どのくらい待てば来るのか、交通手段を変更したほうがよいかなどの判断ができます。また、得られた情報を次のダイヤ改正に役立てることも可能です。

4. 日本全国AEDマップ

「日本全国AEDマップ」は、全国の自治体が提供するオープンデータに加え、サイトに登録された利用者からのAED情報をもとに、AEDがどこにあるのかを知ることができるアプリです。AEDの設置場所だけでなく、設置施設を利用できる時間帯も分かるので、今どこのAEDを使えるかを迅速に把握できます。

アプリでは、現在の位置を中心として最寄りのAED設置場所が表示されます。表示されたマークをタップすると、設置場所の住所や利用できる時間帯といった情報を見ることが可能です。さらに、地図には載っていない新たなAED設置場所を見つけた場合や撤去されていた場合には、「新規投稿機能」を利用して登録できます。情報の質と量を充実させることで、突然起こり得る急な場面だけでなく、スポーツイベント開催時などの安心・安全確保にもつながっています。

5. 働くママ応援し隊

「働くママ応援し隊」は、横浜市における認可外保育施設も含めた保育施設情報を掲載するアプリです。保育施設情報や入所状況情報などのデータを利用して、保育施設選びに必要な情報をわかりやすく掲載しています。

アプリでは、保育施設情報を「区」・「路線」・「施設名」、または「毎日預けたい」・「ときどき預けたい」などの頻度からも検索することが可能です。さらに、サイト内で「保育施設の種別と利用案内」および「子ども・子育て支援制度」などの情報も公開しています。横浜市が公開しているオープンデータに加え、保育施設を選ぶ際に重要となる情報を独自に加えることで、保護者にとって有益な情報取得の手段になりました。
一方で、保育施設側にとっても、効率的な情報発信の手段として活用できるのもこのアプリの特徴です。各種PRに加え、求人情報も無料で掲載できます。

6. いこーよ

「いこーよ」は、全国95,000か所以上(2023年5月現在)のおでかけスポットを掲載する、日本最大級のファミリー向け情報サービスです。主に、各自治体の図書館や児童館、公園情報や親子イベント情報などのオープンデータを活用しています。家族・子ども連れで楽しめるスポットを簡単に検索でき、口コミ投稿も可能です。

サイトでは、地域や路線、子どもの年齢などの条件から検索可能で、お得なクーポン情報も掲載しています。また、季節ごとのおすすめスポットや日付ごとのイベント情報、週間人気ランキングも掲載するなど、あらゆる切り口からおでかけスポットを紹介しているのも特徴です。家族との楽しい体験ができる情報を提供することで、子どもの笑顔あふれる明るい社会づくりに貢献しています。

7. 生活ガイド.com

「生活ガイド.com」は、住みたい街や住んでいる街の基本情報に加え、行政サービスや助成制度などの情報が調べられるサイトです。国勢調査や住民基本台帳、人口動態統計、学校基本調査、経済センサスなどのオープンデータと独自のアンケート調査などで得たデータを利用しています。

サイトでは、主に火災件数や刑法犯認知件数といった治安情報や、学校や幼稚園・保育施設、公園、スーパー、図書館の数といった生活環境に関わる情報、診療所や医師の数といった医療に関わる情報などが幅広く掲載されています。また、2つの街のデータを比較できたり、「住みたい街ランキング」など項目ごとのランキングが見られたりと、日本全国の街の生活情報があらゆる角度で分析できるのも特徴です。

単なる統計やデータだけでなく、その街独自のサービスや助成制度、口コミ評価、ランキングなどを掲載することで、街に住みたいと考えている人や住んでいる人にとって有益なサイトになっています。

8. カーリル

「カーリル」は、全国7,400以上(2023年5月現在)の図書館の貸し出し状況がリアルタイムでわかる、日本最大級の蔵書検索サイトです。図書館蔵書データベースを活用し、利用者の利便性向上や、図書館の利用促進に寄与しています。

サイトでは、あらかじめ現在地を登録し、借りたい本のタイトルを検索することで、近い図書館の蔵書や貸し出し状況を閲覧できます。また、書誌データベースとも連携しているため、検索した本のインターネット購入も可能です。カーリルは、公共サービス分野に民間企業の柔軟な発想がマッチしたことから、オープンデータを用いたビジネス化の成功事例としても有名になりました。地方から大都市まで、日本全国に点在する図書館を楽しくするため、常にアイデアを生み続けています。

9. あんしん給食管理

「あんしん給食管理」は、福岡市の小学校給食のアレルゲンや献立情報の通知をLINEで受け取れるサービスです。喫緊の課題であった、食物アレルギー事故のリスクを少しでも減らすために誕生しました。通学している小学校とアレルゲンなどの情報を公式アカウントに設定するだけで、アレルゲンが含まれる献立日に通知を受け取れます。

これまで、学校給食におけるアレルギー管理は、教職員および保護者が目視で行っていたため、チェック漏れや確認作業の負担が大きな課題でした。そこで、手軽にやり取りができるLINEを利用し、管理作業をIT化することで、食物アレルギー事故の抑制や管理作業の負担軽減を実現しています。福岡市が保有する給食献立情報のオープンデータとAPI開発、情報発信の手段であるLINEという、多様な主体を組みあわせて成功した事例です。

10. 公園検索アプリ「PARKFUL」

「PARKFUL」は、各自治体が持つ公園情報のオープンデータを活用し、公園検索や口コミ投稿、情報提供などができるアプリです。自治体のデータと利用者からの情報提供で作り出すアプリとして、公園の質向上や利用者の利便性向上につなげています。

各自治体から得た公園情報をマップ上に掲載し、利用者から投稿された写真やコメントも閲覧できます。遊具の不具合などの情報が投稿されることで、管理者もそのことを把握でき、すぐに対応することも可能です。公園の利用機会の増加や安全性の向上に加え、オープンデータを使いやすいように提供する手段としても成功しています。
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オープンデータを活用する際の注意点

オープンデータの活用における注意点は、オープンデータの形式がすべて統一されているわけではないこと、データの収集や加工・編集などにリソースが必要なことの2点です。統一されていないオープンデータをそのまま活用しても、使いにくく成果が得られないこともあるため、オープンデータを効果的に活用するための加工・編集が必要となります。

この場合、データ抽出のためのツールに加え、加工・編集できる人材の確保が必要です。社内ですべて確保できれば問題ありませんが、それが難しい場合、すでに加工・編集してあるデータを外部から購入するといった手段もあります。オープンデータを活用して新たなサービスを創出する場合、どのようなリソースが必要なのかを検討し、確保することが重要です。

まとめ

国や地方公共団体などが提供するオープンデータを活用することで、社会の課題解決や新たなサービスの創出、さらには経済の活性化が期待できます。一方で、そのオープンデータを効果的に活用するためには、APIや情報発信のツールなど、デジタルの力が必要不可欠です。ここで紹介したオープンデータの活用事例を参考に、デジタルを利用したオープンデータの活用法を見つけてみましょう。
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